運命のヒト【さとみ】

予想的中 ページ9

電車に乗ると
真っ先に目に入る姿。

凛としているのに、
俺に気付くとふわっとほころぶ。

A「あ、さとみさんだ〜！」
さとみ「お疲れ様」
A「う、わっ！」

Aさんが俺に手を振ったタイミングで
電車が揺れてバランスを崩す。

俺は慌ててその腕をキャッチして支える。

さとみ「大丈夫？w」
A「うん、ありがとう…さとみさんには助けてもらってばかりですね」

時折現れる砕けた口調。

俺のこと受け入れてくれたんだ、って嬉しくなる。

A「…今度お礼させて？」

俺は驚いてAさんの方を見る。

これは…駅や電車の中以外で会おう、ってことだよな？

デートの…お誘い…？

さとみ「え、いや…いいよそんなん」

いや、そんなんありえん。

またAさんに弄ばれてるだけだ。

A「え〜〜」

少し考えるAさん。

A「美味しいお酒飲める所知ってるんです。この前一緒に行った知り合いと予定合わなくて…一人だと、寂しいから。」

ほら、やっぱり俺じゃなくてもいいんだ。

都合のいい友人、って枠だろ？俺は。

A「さとみさんともっと仲良くなりたいし、どうですか？」
さとみ「……」

仲良くなりたい、って純粋な言葉…

久しぶりに聞いたな。

さとみ「俺お酒そんな強くないよー？w」
A「私もですよー？w」

てかこの人出会って間もない男の何を信用して
お酒飲みに行こうとか誘ってるんだろう。

酔ったら何もできないのに。

…まあ、いいや。

酔って何しても知らねぇや。

だって向こうから誘ってきたんだし、
そーゆーことじゃんね？

さとみ「じゃあ…行こうかな」
A「わーい！いつにしましょうか〜、今週末？」

遠足の前日のように
見るからにわくわくするAさん。

さとみ「小学生みたいw」
A「え、何ですかそれ。子供っぽいって言いたいんですか。」

子供っぽいわけはないんだけど。

だってこんな凛として色っぽい子供いねぇよ。

いたらこえぇよ。

さとみ「かわいいなーと思ってw」

一歩、踏み込んでみた。

さて、どんな反応をするんだろう。

A「からかってるでしょ！！私怒りましたから！」

あ、ぷんすかしてる。

これは…言われ慣れてるな。

さとみ「嘘ですよw」

かわいいのは嘘じゃないけど。

A「まあ今回はさとみさんに免じて許してあげます」
さとみ「偉そうだなww」
A「ふふふw」

なんだこれ、ただのカップルじゃねぇか。

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