運命のヒト【さとみ】

良い男 ページ31

あの夜を境に、

俺たちは結構な頻度で会うようになった。

待ち合わせ場所がバーなのは
言わなくてもわかる。

A「それでね〜？」

たった一夜一緒に過ごしただけで
こんなに色気ダダ漏れになるのか、

って不安になるくらい
Aさんは色っぽく見える。

頬杖をついても、
髪をかきあげても、
グラスに口をつける仕草も、

全部記憶のAさんより三倍増しで魅力的に見える。

A「……」

無言で指輪を弄るその姿でさえ
俺の気持ちを高めてくる。

さとみ「……」
A「さとみくんのペットに会いたいなあ」

俺の方を見ないで言う。

独り言っぽく、でもちゃんと聞こえるように。

さとみ「…家来る？」
A「いいの？」

頬杖をついたまま目だけこちらに向けてくる。

さとみ「Aさんこそいいの？」

俺は少し悪戯に言い返す。

A「……いいよ？」

首を少し傾けて試すかのように言ってくる。

さとみ「何するかわかんないよ？」
A「…信じてるから」

いつか言われた言葉。もう懐かしい。

さとみ「自分から誘ってきたくせに」
A「私何もしてないよ」
さとみ「どの口が言うんだよw」

少し舌を出して笑う。

お茶目でかわいい。


バーから俺の家に移動する。

二人で乗るタクシーにも慣れた。

A「お邪魔しま〜す」

靴を揃えて家に入るAさん。

俺の家にAさんが居るって事実がすごい。

さとみ「あ、」
A「え、かわいい…！」

ひなとモカに自己紹介させて、
俺は飲み物の準備。

二匹ともすっかりAさんに懐いたらしい。

動物に好かれるタイプなんだろうな、きっと。

A「かわいい♡」

ひなとモカがかわいいのは知ってる。

でもそれ以上に、ニコニコ笑顔で二匹と戯れるAさんがかわいい。

さとみ「俺はかわいい？」
A「かわいいよ〜w よしよし」

俺の頭をわしゃわしゃするAさん。

俺は何だかバカにされてる気がして
その腕を掴んだ。

A「反抗期ですか〜？」

楽しそうに笑うAさん。

ちぇっ。舐めてんじゃん。

俺は啄むようにキスをする。

さとみ「反抗期じゃないし。」
A「何それw」

本能は理性に反抗しようとしてるけど。

俺は、座ってるAさんの両脇に手をついて
押し付けるように再びキスをした。

拒まれるかと思ったのに
Aさんはじっとキスに応えてくれる。

閉じていた瞳を開くと目が合う。

それを合図に、Aさんを押し倒した。

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