塔の上のお姫サマ。【神威】

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神威｢·····これ、どうするんだっけ···。あれれ？この紐なに？あ、ビリッていった。····まぁいいや。｣


『大丈夫なんですか？』



赤い着物を身に纏い、彼が帯？なんかを巻いてくれているのだが。先程から不安を煽るような言葉しか口にしない。本当に理解してきたのだろうか。


挙句に着物を破る始末。｢ほんの少しだから分からないよ。｣と彼は言うけれど。どう考えてもあの音は少し破れた音には聞こえなかった。しかし熱中してしまっている彼に文句も、ましてやダメ出しなんか出来るわけもなく。


されるがままでいる事かれこれ1時間。｢出来た！｣という元気な声に、ウトウト飛びかけていた意識を戻す。満足気な彼は私を見つめており。



『······あの？』


神威｢·····うん、やっぱりよく似合ってる。｣



気恥ずかしくなって話しかければ、柔らかく微笑んで見せた彼は更に恥ずかしことを言う。



『あ、ありがとうございます。』


神威｢いーえ！はー、お腹空いたー。今日は俺が当番だっけ？｣


『多分そうです。』


神威｢わかった、Aはそれ崩さないように慎重に座っててね。手伝わなくていいから。｣


『え、はい。』



帯が解けないように、慎重に椅子に座る。少し動きにくいし重いし。言い出せばキリがないほど不具合があるけど。


初めて人から貰った贈り物。
神威が私の為に選んでくれた。
｢似合う｣と言ってくれた。



『······ふふ、』



大切にしようと思った。



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