塔の上のお姫サマ。【神威】

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神威｢ヘェ、随分と哀れな女が居るもんだ。｣



簡潔にまとめられた資料に目を通し、少し高めの声でそう呟いたのは。宇宙最大の海賊春雨の雷槍、神威である。


透き通るような白い肌、目立つサーモンピンクの長髪を三つ編みにし、ピョコピョコとアホ毛を揺らしながら。薄暗く長い廊下を歩いている彼。その隣には彼より一回り大きな図体の男が1人。



阿伏兎｢知らなかったのかァ？団長。この話、結構有名なんだぜ？なんでも今までに名を残した戦士は皆その女が産んだ子らしい。｣


神威｢ふぅん、それは楽しみだね。戦いたいな。｣


阿伏兎｢馬鹿野郎。他人事みてェに言いやがって。アンタはその相手に選ばれたんだろーが、すっとこどっこい。｣


神威｢あはは、そうだった。でも面倒だなぁ。俺、女に興味無いんだけど。どうする？阿伏兎。お前にこの役柄、売ってやろうか？｣



目を細めて｢阿伏兎｣と呼ばれた男を見上げる神威。上の会話からも分かるように、“幻の夜兎”と呼ばれる女の相手役に神威が選ばれたのだ。



阿伏兎｢こんのすっとこどっこい。ジジイ共が黙っちゃいねェだろ？それに女は相当の美人らしいじゃねェか。不満もクソもねェだろ？｣


神威｢だからー、女に興味無いんだって。それに、産むためだけに産まれた存在···。情が湧いちゃうかもしれないでしょ？｣


阿伏兎｢ハッ、よく言うぜ。女は子供産む為の道具って言ってたのは何処のどいつよ。｣



2人の話し声と足音しか聞こえない廊下。真っ直ぐ進めば長い階段が見え。その上には“幻”が居る。



神威｢でも、どんな女かは、楽しみだよ。｣




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