塔の上のお姫サマ。２【神威】

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冷えた床が私の体を更に冷たくする。体の芯まで冷えきって、身体が小刻みに震え出す。手の震えが止まらず、それが寒さのせいでないのだと気づいた。


ーーー恐ろしかった。


目の前の何の感情も宿っていない瞳をした男が。自分がこの場にいるという事実が。“あかつき”という組織が何なのか解らないことが。


ゲホッ、と咳をした。すると喉元に鉄の味がこみ上げてきて、思わず涙が滲む。しかしそのおかげで少し潤い、なんとか声を出すことに成功した。



『ーーッケホ、·····私をこれからどうするつもりですか？』


繆｢さっき言っていた『神威』とは、春雨海賊第七師団団長のことか？｣



無視ですか、と小さく笑った。そんな私とは不釣り合いな程無表情の彼は再び口を開く。



繆｢貴様の腹にその男との子が宿っていると踏んでいたが、···どうやら見当違い。貴様は“最強の戦士”を産み得る存在。子を産まなければ貴様に価値などない。｣


『···っ、何が言いたいんですか。』


繆｢分からないのか。つまりは、



ーーー貴様には我等が提督との子を産んでもらう。｣


『ーーー···は、』



彼が言った言葉は私の頭の中を何度も繰り返された。それから彼はそれから一言、二言何かを言っていたが、呆然とした私の耳には届く事なく。


いつの間にか流れた涙を拭う事も止める事もできず。いつの間にか、意識を飛ばしていた。




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