全力で邪魔してくる5人が腹立つ。

性分。 ページ11

降谷side




｢な、んであんたが…｣




僕が背後から現れたことに驚く藍坂。元々大きくて綺麗な目が更に見開く。




｢僕が原因でこんな羽目になったんだろう、それに人が困っているのに手伝わないのは性にあわないんだ｣




そう告げて薄く汚れたタイル床を磨いていく。

平然と掃除を始める僕を見て何度も瞬きしている彼女。




｢しょ、性に合わないからって…掃除くらい私1人で出来るし！｣




僕に弱く見られたと勘違いをしている彼女は、負けず嫌いなのかただ単にツンデレなのか分からないが、強気な口調で言った。それでも掃除をする手を止めない僕を見て諦めたのか、こちらに顔を向けることすらなく、黙って掃除を始めた彼女。

するとまた口を開いて話した。






｢私は、努力している降谷くんを悪く言われてるのが気に食わなかっただけだし、勝手に首突っ込んで大事にしただけ｣






"降谷くんは何も悪くないのに"と続けて言った彼女。

最悪の場合、謹慎になるかもしれなかったのに、人のために怒って、感情を動かす彼女は真面目でとても心優しい人なのだろう。こんな寛大な心を持つ彼女に多少の好意を抱いてしまったがしょうがない。






｢ありがとう、藍坂があんな風に言ってくれて嬉しかったんだ｣





そう言うと、ようやくこちらに顔を向けてくれた藍坂。

耳を赤く染める彼女は、ハッと我に帰ると｢お礼なんかいい！｣と言って、また顔を逸らして再度掃除を始めた。



……なんとも可愛らしい。ハギが｢藍坂ちゃんは小動物な感じが可愛いんだぜ〜！｣となぜか自慢げに言っていたが、少し共感できるかもしれない。





｢ゼロ！やっぱりここにいたのか！…っあ、Aちゃん！｣


｢ヒロ！｣｢も、諸伏くん！｣





風呂場の扉からひょっこりと顔をのぞかせたヒロの顔は少し汗ばんでいて、走ってきたんだろうと予想がつく。

藍坂のことを名前呼びしていて、不意に食事中の萩原の言葉を思い出した。





｢そういや、さっきのAちゃんかっこよかったよ！ゼロのためにガツンと言ってたね！｣

｢へっ？あ、いや…へへ……って別に癪に障ったからって理由だけど！｣




ヒロに褒められて弧を描く口元はすぐさま引き締まって、いつもの素直になれない藍坂に戻った。

正直になればいいものを…






｢ただ、降谷くんが悪く言われたのが悔しかっただけ…｣






僕の目を見てそういう彼女に心臓を射抜かれてしまったのは最大の失態かもしれない。

感謝！(本編とは無関係)→←努力家。

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