全力で邪魔してくる5人が腹立つ。

私の理想。 ページ1

｢大丈夫かい、お嬢ちゃん｣





私が小学生の時、コンビニで起きた事件。


刃物を振り回している男に、手首を拘束されて怯えている親子。他にも老人や赤ん坊を抱えている女性などかなりの人がいた。



幸いに小学生の私は危険だと思われていなかったのか、犯人の目には止まらず、拘束もされていなかった。




まともに動けるのは私しかいない。勇気を出すしかない。





そう思い、小柄な体で犯人の腕に捕まって、刃物を振り落とそうと必死に飛びついた。


だが、私の考えは甘かったのか。犯人の腕は微動もしなかった。


大きく腕を動かして私の振り落とした犯人。地面に叩きつけられた上半身や足、頭も全てがジンジンと痛みが響く。




おかげで犯人の目に止まった私。

昔から見ていた警察特集の番組。あのときから私は警察に憧れて、人々を助ける仕事に就くことを夢見てきた。

でも私の夢は呆気なく終わりを迎えようとしている。



キラリと光る刃先は私の心臓を目掛けて落ちてきた。







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それからは何も覚えていない。気がついたら家の布団の上で仰向けになって寝ていた。しかも無傷。あのとき助けてくれた警察官の顔や声、名前も性別も記憶が曖昧で何もかも分からない。


ただ分かるのは私は今も生きていて、警察官の夢を諦めていないこと。





｢……私もあんな人に…｣





あの事件をきっかけに、私は警察官を目指す気持ちが強まった。






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晴れて警察学校に入学した。約半年、寮生活して訓練をして卒業するのが私の計画。以下にも普通で当たり前かと思われるかもしれないが、警察官になるための訓練が楽勝だなんて思わないでほしい。


仲間とは最低限のコミュニケーションを取っていれば大丈夫だろう。


私は人付き合い苦手だし…。







｢ねぇねぇ君｣


｢ちょっと無視しないでよ〜｣





誰だコイツは。


綺麗な黒髪に襟足や前髪が長めのチャラい男。私はこんな男とつるむつもりは微塵もない。他を当たってほしいものだ。




｢…なに｣


｢俺、萩原研二！君と同じ鬼塚教場所属！半年間よろしくな。


よし！今ちょっと暇だし学校内うろちょろしようぜ！｣








拝啓 お母様。

私の計画はこの男によって全てパーになりそうです。

くせっ毛とパツキン。→

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