99P.「左は使わない」 ページ16
「……個性婚って、知ってるか」
轟は先程までの笑みを無くして話す。
案の定分からない単語に首を傾げると、轟が説明をしてくれた。
何でも、この世界に"超常"が起きてから、第二〜第三世代間で問題になったらしい。
自身の個性をより強化して継がせる為だけに、配偶者を選び、結婚を強いる、倫理観の欠落した前時代的発想だと。
「……つまり、轟の両親はその個性婚とやらで出来た夫婦なのか？」
というか、聞くまでもなくその話題を出してきた時点で察せることだ。
轟はこくりと、頷いた。
「俺の親父は極めて上昇志向の強い奴で、ヒーローとして破竹の勢いで名を馳せた。……それだけに、生ける伝説オールマイトが目障りで仕方無かったらしい」
自分ではオールマイトを超えられない親父は、次の策に出た。と、轟は言う。
察したぞ。
「……つまり、轟をオールマイト以上のヒーローに育て上げる事で自身の欲求を満たそうって事か。……親としてどうかと思うが」
こくりと頷く轟の瞳は、それはもう憎しみに満ち溢れていて。
一体何故エンデヴァーはNo.1にそこまで固執するのか。それを実の子供にまで背負わせようとするほどなのか。……ヒーローも中々難しい奴がいるようだ。
しかし轟はそんなことなど知らないとでも言うように、憎しみからか拳を強く握っていた。
「実績と金だけはある男だ……親父は母の親族を丸め込み、母の個性を手に入れた」
「そしてお前の言った通り、俺をオールマイト以上のヒーローに育て上げることで自身の欲求を満たそうってこった」
「うっとうしい……！俺はそんな屑の道具にはならねえ」
轟の指が赤くなっている。強く握りすぎだ。
それほどまでに、憎いということか。と言ってしまえばそれまでなんだろうけど。
「記憶の中の母はいつも泣いている。｢おまえの左側が醜い｣と、母は俺に煮え湯を浴びせた」
ぞわぁ……としたような感覚が、私の背筋を通った。
「……俺は、左側……クソ親父の個性がなくたって……いや、使わずに"一番"になることで、あいつを完全否定すると、自分に誓った」
轟の話は壮大過ぎて、あまりにも前世の私とかけ離れていて、何が何やら分からなくなった。
ただ一つ言えることは、このままじゃ轟は駄目だ。と。
復讐に囚われ過ぎている人間の末路を一番理解しているのは、それに一番近い世界に居た私だと。
何か言おうとしても、喉から声が出なかった。
100P.「出久とオールマイト」→←98P.「轟焦凍という少年」
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柊 琥珀(プロフ) - 刀剣乱舞知っているのか……！！！！！！！推しは山姥切国広君っす！！！ (2021年1月24日 20時) (
レス) id: 420daa7b8e (このIDを非表示/違反報告)
黒狐(プロフ) - もうこれオチ太宰さんでよくね？ってなってきたのだが…僕だけだろうか… (2017年12月5日 1時) (レス) id: 5ebcc66f94 (このIDを非表示/違反報告)
杏樹 - 鏡花ちゃんが可愛いのは、当たり前！作者さんも、とうらぶ知っているなんて・・・・ 新双黒好きな人には悪いけど、旧双黒の方が強いと思うんだけど・・・(旧双黒が好きなだけです！！)物吉君見に行きたかったな・・・・ これからもがんばってください！ (2017年10月27日 23時) (レス) id: 740276b151 (このIDを非表示/違反報告)
ぱずー@粟田口のしょこんた - 鏡花ちゃんが可愛いのは当たり前でしょう((ドストさんがヤバいのは分かります(遺言)毛利くん？新実装刀剣男士？ﾅﾆｿﾚｵｲｼｲﾝﾃﾞｽｶ?これからも頑張ってください！ (2017年8月14日 21時) (レス) id: 4a6f3ef255 (このIDを非表示/違反報告)
N - ペーパーホライズンさんおかえりなさい！旅行どうでしたか？更新もありがとうございます！これからも頑張ってください (2017年8月9日 19時) (レス) id: c7e8202acd (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ペーパーホライズン | 作成日時：2017年7月17日 12時
