君の声が聞きたい (ページ12)

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チョコレートページ12

もうすぐ帰る時間が迫り、帰り自宅を始めた僕に話しかけてきた人が一人

渡「なぁ、これあげる」

差し出されたものは小さなチョコレート

渡「甘いの好きなんだろ、もっとやっから」

渡辺くんの手からボロボロとチョコレートが渡された

渡辺くんの方を見るとちょっとだけ気まずそうに笑い、僕の頭をクシャッと撫でていった

阿「翔太さ、ずっと場面緘黙症のこと調べてて、雪斗のこと救ってやりたいって言ってた」

手に渡された大量のチョコレートを見つめながら阿部くんの思ってもいなかった言葉に硬直した

阿「初めてで、距離の縮め方がわかんないだけ、雪斗のこと嫌いなんかじゃないから、仲良くしてあげてね」

阿部くんがニコッと微笑んだ、ものすごく優しい微笑み方に阿部くんの言葉に嘘はないと感じた

嬉しくて目頭が熱くなって、視界が滲む

いつか渡辺くんにこのチョコレートのお礼を言えるようにしなきゃ

そしてもう一つ

「僕は甘いものは好きだけどチョコレートだけは苦手なんだ」

と、伝えたら渡辺くんはどんな顔をするんだろう

帰り道、渡辺くんがくれたチョコを一粒口に含んだ

独特な苦味と甘味の広がり方がどうも苦手だけど、なんだかいつもより美味しく感じた