男好き81 ページ36
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だからこそ、私はこの子の事が気になるんだろう。
私はカナヲちゃんと目線を合わせる様に屈み込み、
そして彼女の手を取り、自らの手で、そのまだ頼りない小さな手を包んだ。
突然の私の行動にピクッと体を反応させたが、
だからといって拒む事はせず、
包み込まれた自身の手を変わらぬ表情で見つめていた。
『大丈夫だよ。自分の気持ちに気付いて、いいんだよ。
カナヲちゃんの周りには、どんな貴女でも受け止めてくれる人が、たくさん居るんだから。
カナヲちゃんの声は、カナヲちゃんにしか出せない、
貴女が発さない限り、誰も知る由もないの』
何を言っているか理解出来ているかは分からない、
しかしカナヲちゃんはきゅっと唇を噤んだ。
『その刀、誰の為に振るいたい?』
私の問いかけに、視線を腰に備えている刀に移す。
「私は…」
そう言いかけたが、カナヲちゃんは俯いてしまった。
『しのぶちゃん?それともアオイちゃん?
なほちゃんにきよちゃん、そしてすみちゃん…』
『たくさんの人が、思い浮かんだでしょう?』
カナヲちゃんは、静かに顔を上げる。
『その人達を守りたいのなら、自分の殻に閉じこもっていては駄目だよ。
目を反らして、逃げて、隠れて…
その先にいるのは、暗闇に取り残された自分だけ。
結局、何一つ、大切なもの何て守れやしないんだから』
私はカナヲちゃんに言いながら、自分自身にも言い聞かせているのかもしれない。
彼女はその大きな瞳を小さく揺らし、私の話を聞いていた。
『カナヲちゃんには、私の様になって欲しくないんだよ』
どうかまだ闇に染まりきれていないその心を、光の元へ導いてあげたい。
それは私の手では無理かもしれない、
だが、カナヲちゃんにはそんな人がきっと現れる。
そんな気がするのは、私の願望が刷り込まれているだけなのだろうか。
『いつか、このコインなしで、
カナヲちゃんとお話させてね』
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匿名 - 濃ゆいって方言ですか? (2019年12月26日 23時) (レス) id: e1da86b5ff (このIDを非表示/違反報告)
麗優(プロフ) - ほんとですよね笑 無敵だけどいい迷惑ですね。はい、よろしくお願いします! (2019年12月22日 22時) (レス) id: 114271c2f5 (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - 猫まんまさん» あ、そうなんですか(笑)教えていただいてありがとうございます! (2019年12月22日 22時) (レス) id: 3a359f279c (このIDを非表示/違反報告)
伊織(プロフ) - 麗優さん» 何で職場なんですかね、、ほんとあれは無敵スキルですよね、、これからもよろしくお願いします! (2019年12月22日 22時) (レス) id: 3a359f279c (このIDを非表示/違反報告)
猫まんま(プロフ) - 伊織さん» あっ。でも、そのグループ解散しちゃって…。 (2019年12月22日 22時) (レス) id: a02a4587d8 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:伊織 | 作成日時:2019年12月4日 22時