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百五話 人は永久に ページ5

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空を飛ぶ白鯨の内部。



高価な調度品が並ぶ部屋に、敦とAは両腕を頑丈な金具に拘束されて立っていた。



二人が睨む先には、シャンパングラスを片手に持ったフィッツジェラルド。






「おはよう、虎人(リカント)の少年、そして瑠璃菊(ストケシア)





殺気が籠った眼差しを気にする様子もなく、フィッツジェラルドは笑った。




「飛行異能要塞『白鯨(モビーディック)』での船旅(クルーズ)は気に入ったか?」


黙り込んだまま突き刺すような視線をフィッツジェラルドに向ける敦を横目にAは

『まだ運転の荒い船の方がマシ』

そう言ってゴミを見るような目でフィッツジェラルドに向かって吐き捨てた


軽い音を立て、中身が残ったシャンパングラスがテーブルに置かれ、彼は苦笑した



「それは済まない。」



突然、敦の後ろのドアが開く音がした。
二人が振り向くとそこには、エプロンを着て三角巾を着け、腕には畳んで積み重ねられた白いクロスを抱えたモンゴメリだった。


彼女は二人から向けられる視線に気付き一瞬敦を見たが、直ぐにそっぽを向いた。




「彼女は……」





思わずといったように呟く敦に、フィッツジェラルドが答える。





「あぁ、モンゴメリ君か?手の内を知られた異能者に戦術価値は無いのだが、本人がどうしても残りたいと言うのでな」





部屋の隅に置かれたテーブルにクロスを広げるモンゴメリの後ろ姿を見た二人の脳裏に、以前彼女と会った時のことが過る。





″そしたらまた独りよ。そんなのって信じられる?″



『(人は永久に、孤独なのだから)』


歯を食いしばり、Aは地面を見つめた


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舞。(プロフ) - 心さん» ありがとうございます〜!!!更新頑張ります! (2019年11月17日 22時) (レス) id: 42a689ad41 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - とっても面白いです!続き楽しみにしてます! (2019年11月17日 21時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:舞。 | 作成日時:2019年11月12日 15時

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