百四話 泉鏡花の独白 ページ4
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フィッツジェラルドは、敦とAを脇に抱えた
地に膝を着く鏡花に背を向けて、口を開いた。
「君とは会ったばかりだが、人生経験から忠告しよう」
フィッツジェラルドは顔だけで振り返る
その目は酷く冷たく鏡花を見据えた。
「君に人助けは向いていない。向いているのは____分かるな?」
茫然としていた鏡花の瞳から、透明な液体が溢れる。
それは次々と彼女の頬を伝い、着物を濡らした。
「如何して?」
震えた声で、云う。
短刀の感触は、未だ手に残っていて。
自分の手を握ってくれた人達の手の感触は、思い出せなくて。
闇の中しか知らなかった頃よりも深い暗闇が、自らを包み込む。
「向いていないなら如何して光を見せたの?如何して望みを抱かせたの?」
鏡花を港に残し、白鯨が飛び立つ。
それは透明になり、空に消えた。
その場に残ったのは、鏡花一人。
大量の足跡が周りを取り囲んでも、鏡花は空から視線を外さなかった。
「手を掲げろ!」
盾を手にした警察官達が、鏡花を包囲する。
「連続殺人の容疑で逮捕する!」
鏡花は見えなくなってしまった白鯨の中に居る光の中に向かって呟いた
「……さようなら」
「もう私を……光で照らさないで……」
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舞。(プロフ) - 心さん» ありがとうございます〜!!!更新頑張ります! (2019年11月17日 22時) (レス) id: 42a689ad41 (このIDを非表示/違反報告)
心(プロフ) - とっても面白いです!続き楽しみにしてます! (2019年11月17日 21時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:舞。 | 作成日時:2019年11月12日 15時