百十四話 組合の彼女の意思 ページ14
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「あのドアを『白鯨』の外壁につなげたわ」
モンゴメリは異空間の出口であるドアを指さした。
「後は落ちるだけよ」
「……いいのかい?僕達を逃がしたら君は組合から……」
彼女の言葉に、敦は少し眉を下げて云った。
モンゴメリは、下働きをしてまで組合に留まることを望んだ。
だが、フィッツジェラルドの意志に反して敦を逃した彼女の処遇は想像に難くない。
心配そうな敦に、モンゴメリは片目を瞑って少し笑って見せた。
「独りぼっちは、最初からですもの。それにアンに勝てる人なんて居ないわ。この部屋に居る限り安全よ」
『__そうですね』
モンゴメリの言葉に背を押された二人は、扉に歩み寄った。
不意に、モンゴメリが語り掛ける。
「ねぇ、憶えていて?」
彼女は久作の人形を敦に差し出し、真剣な表情で云った。
「最初に逢った時、あたし達は敵同士だった。あの時貴方達は同僚とそれに医者のおじさまと一緒だった」
「あぁ……あの人は結局マフィアの首領で」
「らしいわね、納得よ」
モンゴメリは当時の事を思い返し、少し身震いした。
「今でも思い出すもの……『危害を加える敵には徹底反撃を』っていう言葉と、あの魂を凍らせる目」
彼女は二人を見据えて、云った。
「貴方達とおじさまが協力したせいで、あたしは負けた」
「__それに、貴方もよ。
『__私は何も』
「あなたの方が、よっぽど辛かったのよね。ごめんなさい」
その目は、微かな同情を表していた
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舞。(プロフ) - 心さん» ありがとうございます〜!!!更新頑張ります! (2019年11月17日 22時) (レス) id: 42a689ad41 (このIDを非表示/違反報告)
心(プロフ) - とっても面白いです!続き楽しみにしてます! (2019年11月17日 21時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:舞。 | 作成日時:2019年11月12日 15時