検索窓
今日:11 hit、昨日:5 hit、合計:139,172 hit

百五十話 人は新しく生きるために ページ50

.


鏡花は諦めたのだ。
人を救うことを、光に生きることを。


「…気に入らないな」


鏡花の言葉に太宰が低く云った。
まるで、なにかを思い出すように。


「"元殺し屋に善人になる資格はない"。
…君は本気でそう思っているのか?」


太宰は言葉を続ける。
鏡花には殺しの才能がある。
だから彼女は探偵社員にはなれないと考えている。
それに対して太宰は呆れ顔を浮かべた。


「全く莫迦々々しい」


太宰にとっては三十五人殺した事など、大したことではない。


「君に契機をくれた敦君も元は災害指定猛獣だし、
此処にいるAちゃんには、まだ人に言ったことのないことが沢山ある」


その言葉に、Aは唇を噛んだ。


この戦いが終わったら、言わせてください


でも、その前に彼女を私の言葉で救わせてほしい


『___泉さん、聞こますか?』


微かに震える声で、自らのことを語った


『人は新しく生きるために、たえず告別せねばならない。すべての古き親しき知己から、環境から、思想から、習慣から。

自分が生きたいと思った世界に生きたいのなら、全て忘れ去ってしまえばいい』


『人を殺した?誰かを呪った?そんなこと、誰にだってある』


『私だって、一度人を殺したことがある(・・・・・・・・・・)し、他人を散々呪った』


『でも、もうそれは忘れた。それを受け入れて、前に進んだ』


『だから__泉さんにだって、できるはず。諦めたら、終わりだから』


彼女の語った言葉に、鏡花だけではなく、太宰も目を開いた


_____あとは、彼女がどうするか


泥の中で、必死に足掻くか 目の前のものをパッと諦めるか



.

この小説の続きへ→←百四十九話 救えるのは



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (60 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
168人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

舞。(プロフ) - 心さん» ありがとうございます〜!!!更新頑張ります! (2019年11月17日 22時) (レス) id: 42a689ad41 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - とっても面白いです!続き楽しみにしてます! (2019年11月17日 21時) (レス) id: 2141c8a0fe (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:舞。 | 作成日時:2019年11月12日 15時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。