デパコスデビューに立ち会った ページ35
side 渡辺
普段使っているスキンケア用品が切れそうなので買い物に来た日のこと。
BAさんのお喋りが上手で買う予定のなかったものまで買ってしまった。
でも気分は良くて心はまるでスキップしているようだ。
上機嫌のまま歩みを進めると、よく知っている小さな背中が見える。
「お前、なにしてんの？」
『は...！しょ、渡辺さん...』
「普段、あんなにデパコスは買わないって豪語しているAがshu uemuraねぇ...」
『ひ、とちがいです！』
シラを切ろうとして逃げようとする腕を掴む。
「じゃあ、見ず知らずのお嬢さん。何が欲しいの？お兄さんに言ってみ？」
『あ... いや... あの... 』
「ほら、はよ」
『ポケモンコラボのコスメが欲しくて... ネットで見たんだけど自分に合う色がイマイチわからなくて...』
「で？お店の前を不審者のごとくうろちょろしてたと？」
『お店入りにくくて... デパコス買ったことないし、店員さんと話すの苦手だし...』
もじもじし始めるA
いつも噛み付いてくる野良猫みたいなのに、まるで室内飼いにでもなったか？と疑わざるを得ない。
でも、こっちのAもまた本当のAなのは長年付き合っているからよく分かる。
人見知りが激しいほうで、新しいことや冒険ができないタチなのである。
「姫さん、一緒に行こ。俺、こういうの得意だから。」
『...恩にきります...。』
"いらっしゃいませ"
「すみません。コラボ商品が気になっているんですけど、コイツに似合うのを幾つか見繕って頂けませんか？」
"かしこまりました。こちらへどうぞ。"
Aに目でついて行けとアイコンタクトを送る。
ちょっと不安そうな顔をして、BAさんについていき鏡の前で腰を下ろす。
"お客様はイエローベースの春ですね。そうなるとこちらのリップとアイシャドウがお似合いかと"
『じゃあ... この色試させて頂いても差し支えないですか...？』
Aの言動の節々に、英才教育を受けてきたのだろうなといつも思う。
作法が上品。挨拶が丁寧。親しい仲にも礼儀あり。普段はくそ口は悪いけど。
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みみか(プロフ) - 暖さん» コメント及びご指摘いただきまして、誠にありがとうございます。すぐに改善させていただきます。 (2021年1月10日 22時) (
レス) id: 3382561fd4 (このIDを非表示/違反報告)
暖 - 同じ話があります。食べ物に前向きともう一個のおはなしです。 (2021年1月10日 21時) (レス) id: 89e8900637 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みみか | 作成日時：2020年11月17日 6時
