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甘い声 ページ6

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「ありがとうございました。」


「全然、これからは俺が洗いもんするわ」








洗い物が終わって手を拭きながら先輩は

まるで私の部屋で一緒にご飯を食べることは日常かのように私に言葉を投げかけた。









「明日はバイト?」


「はい。」


「そっか、てかほんまに最近シフト入りすぎちゃう?もしかして、人足りてへんとか?」


「そうじゃないですけど、
一人暮らししてたらそれなりにお金は必要ですし」


「あー、そっか、そうやんな。
仕送りとかは受け取ってないん?」


「仕送りしてくれる人なんていないんで」









思わず、零してしまった私の暗い話に

先輩は少し目を丸くさせた








「てかごめん、俺いつもご飯ご馳走なってんのに
Aちゃんに食費渡してなかったわ」


「・・・食費って。笑」


「なんで笑ってるん」


「だってなんか、同棲してるみたいに言うから・・・
それに、食費なんていりませんよ。
一人増えたくらいで大して変わらないし」






そう言って笑ってみたけど

先輩はどこか腑に落ちない顔をしていた









「ありがとうな、いつも俺に
美味しいご飯食べさせてくれて」









ようやく、玄関に向かった先輩
見送ろうと先輩の後ろをついていけば

突然、振り返った先輩が私の頭に触れた









「なんですか、急に」



「ん?なんかありがたいなと思ってさ」









私を優しく見下ろす先輩。

その瞳を見つめれば

先輩は私のことを好きなんじゃないかって
勘違いてしまいそうだったから

堪らなくなって、俯いた。









「なんで下向くん?」








先輩はずるいと思う、


私の気も知らないで突然、頭に触れたかと思えば


俯く私に甘い声で問い詰めるんだから。

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作者名:レイラ | 作成日時:2019年11月11日 18時

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