Chocolate cosmos. (ページ1)

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知っているページ1

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「はあ、一度でいいからあんなイケメンと
付き合ってみたいな～。」

授業中

斜め前の席に座る女子から
ため息混じりに聞こえた言葉は

きっと、授業を真剣に聞く綺麗な先輩の横顔を
見つめながら漏らした言葉だと思う。

そんな綺麗な横顔をした先輩の名前は
“ 永瀬廉 ”
大学では密かに顔面国宝というあだ名をつけられていて一見クールそうに見えるけど

話し出すと関西弁だしツッコミは的確だし
人当たりもいいから

男女問わず、人気者でいつも誰かと一緒に行動している。

「でもさ、永瀬先輩って
あんなにイケメンなのにここ最近ずっと
彼女いないらしいよ？」

「え～？あんなにかっこいいのに？
もしかして、性格に難アリとか？
それとも、理想が高すぎるとか？」

予想通りの名前が聞こえてきた後、
無意識に耳を傾けていれば続けてそんな会話が
聞こえてきて、思わず首を横に振りたくなった。

先輩にずっと彼女がいないのは

先輩の性格が原因でも、
先輩の理想が高すぎる訳でもない。

そんな簡単な理由なんかじゃない。

もっと、悲しくて残酷な理由があるんだ。

だけど、もちろん

彼女達は先輩の悲しい恋愛事情なんて知る由もない

あの綺麗な横顔に惹かれて

いろんな思考を巡らせて距離を縮めようとしたって

先輩のことを知ろうと必死になったとしても

きっと、この先も知ることは無いと思う

だけど、

私は知ってる

先輩の悲しい恋愛事情も

先輩に想いを寄せる事が

どれほど無意味なことかってことも

私は、知っている

それも、残酷な程に。