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一度、溜めてた涙を零してしまえば
もう、止まることはなく
堪えきれなかった涙が次から次へと
私の頬を伝った。
そんな私の止みそうにない涙を
紫耀はずっと、困惑しながらも
その優しい指先で拭ってくれていた。
「·····ごめんっ、」
「いいよ、我慢する必要なんてないから」
「·····っ。」
「急に もう好きじゃないとか言われても
意味わかんないよな。
だからさ、ちゃんと理由聞いた方がいいと思う。」
「·····そう、だよね。」
「きっと、何か理由があるんだよ。
あいつは、突然 Aのことを好きじゃなくなったりしない。Aも本当はそう思ってるだろ？」
真っ直ぐな瞳で問いかける紫耀に
私はゆっくり頷いた。
廉くんは昨日、ものすごく冷たい声で
私に別れを切り出したけど
その冷たい声とは裏腹に
廉くんの私を見つめる眼差しはいつも以上に
優しかったから
きっと、廉くんが突然
別れを切り出したのには何か理由がある
廉くんは本当に私の事を好きじゃなくなったわけじゃない。
“Aの事を好きって思えんくなった”
あの言葉は、本心じゃない
そう分かってはいながらも
どんな理由があろうと
廉くんが私との別れを選んだ事が
なにより、悲しかったんだ。
「どうする？学校サボっちゃう？」
「ううん、行く」
「じゃあ今は頑張って目冷やさないと。」
「うん」
「今日の帰り、Aの好きなクレープ奢ってあげるから。
ほら、もう泣かない。」
私の頬を軽くつねって
紫耀は太陽みたいに明るい笑顔を私に向けた
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作者名：レイラ | 作成日時：2019年11月7日 21時
