好きだなんて言わないで (ページ2)

今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:7,232 hit

2 ページ2

.

すっかり見えなくなってしまった廉くんの後ろ姿

だけど私はまだ立ち竦んだまま動けないでいる

次第に雨がポツポツと降ってきて

まるで私の心の中と連動しているようだった。

だんだん視界が滲んできたかと思えば

冷たい雨が私の頬を濡らした。

.

.

.

翌日、

昨日のことは夢だったんじゃないかと

微かに期待を抱いて

洗面所に向かえば目がパンパンに腫れた自分が

鏡に映って、微かな期待はすぐに裏切られてしまった。

_____ ガチャッ

お母さんに顔を見られるのが恥ずかしくって

朝ご飯も食べずに保冷剤を瞼にあてながら

家を出ると、

「おはよ·····って、なんかあった？」

同じタイミングで開いた隣の家のドア

そこから出てきたのは幼馴染の紫耀だった。

よりにもよって·····こんな日に同じタイミングで

家から出てくることなんてある？

いつも、ギリギリに出るくせに

「もしかして、廉と喧嘩？」

私のパンパンに腫れた目を心配そうに見つめながら私に近寄る紫耀

ジロジロと私の顔色を伺ってくるから

私は自分が惨めに思えて視線を逸らした。