好きだなんて言わないで (ページ1)

今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:7,229 hit

1 ページ1

.

「·····A、ごめん俺と別れてほしい」

デートの終盤、

いつものように今日も別れを惜しんで

ギリギリまでイチャつくもんだと、

てっきり私は思ってた。

だって、今日もいつものように

いや、いつも以上に楽しいデートをしたはずなのに

それなのに、

廉くんが今ここで、発した言葉は

これまでの雰囲気をぶち壊してしまうような

冷たく酷い言葉だった。

「·····なに言ってるの？」

「ごめん、」

「意味わかんないんだけど」

「ほんとごめん」

「本気で言ってるの？」

「·····本気。」

「·····どうして急に？今日だっていつもと
変わらなかったのに·····。」

「単純に、Aの事を好きって思えんくなった。」

「なに·····それ」

私の事をもう、好きじゃないってこと？

それなのに、今日もいつもと変わらない

優しい目をして私を見つめたの？

私の大好きなその笑顔で笑いかけたの？

廉くん、本当に意味が分からないよ。

これって、なんかのドッキリ？

だとしたら笑えない

「とにかく、俺と別れてほしい」

真っ直ぐ私を見つめる廉くんの視線からは

本気なのが伝わってきて

だけど、どうしても納得できなかった。

「·····ごめんな、A」

最後に廉くんはもう一度私に謝ったあと

そのまま私に背を向けて歩き出した。

私はまだこの状況が理解できなくて

ただひたすら

私から遠ざかっていく廉くんの足音を

ボーッとしながら聞いていたんだ。