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52:最後の修行_2 ページ7

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悲鳴嶼さんが教えてくれた稽古の内容はは3つ。
滝に打たれ、先程悲鳴嶼さんが背負っていた丸太を三本担ぎ、岩を一町先まで押して運ぶだけ。
但し丸太に関しては、下から火で炙るのは危険だから無しらしい。

「最も重要なのは体の中心…足腰である。強靭な足腰で体を安定させることは、正確な攻撃と崩れぬ防御へと繋がる」

と、この稽古で何を学ぶべきなのかを最初に教えてくれた。


「女子は滝行無しだよ!」


「えっ!?」


私がいそいそと滝行の為に服を脱ごうとしていると、丸太を担いで運んでいた夏香に止められた。


「なんで?」


「ちょっと耳貸して」


「うん?」


「実はね……ここにいちばん最初に到達した女子が私だったんだけど、男達みたいに上裸は無理だから、取り敢えず薄い服を着た状態で滝行したんだけど、透けちゃって……そしたらそれを見た男達が動けなくなっちゃって……」


「あ〜!! なるほどね〜!!」


「要は稽古の妨げになるから良くないってこと! 煩悩滅殺! そんじゃね〜!」


「うん、ありがとう!」


夏香のおかげで事故は回避出来たが、これはこれで何をすればいいのか分からなくなった。
どちらにせよ足腰を鍛える為に役に立つものをしないといけないが、丸太と岩だけでは他の隊士よりも練習量が少なくて物足りなくなってしまう。


「お〜い」


「あっ、天元!」


「何してだよ、早くやろーぜ」


「なんか女子は滝行無しなんだって」


「は? なんで?」


「服が透けて……ね?」


「あ〜、飢えてるもんな〜。俺と違って!」


天元が岩に張り付いている隊士達に聞こえるように少し大きな声で返事をした。凍えて震え上がっている彼らに睨まれ、彼はニヤニヤしながら私の方を見てきた。


「もう、しょうもない喧嘩売らないで」


「別にいいだろ。てか俺思うんだけど、お前って顔悪くないし、結構スケスケ期待してたやついんじゃないの?」


「……何言ってんの? 頭おかしくなっちゃった? まだ遊郭の頃の後遺症が……?」


「ちげーよ!」


「まぁいいや。死なない程度に頑張ってね」


「おうよ!」


彼の「冷てェー! 死ぬー!!」と言う叫び声と共に見送った後に、私は急いで悲鳴嶼さんの方へと向かう。
何の稽古をすればいいのか改めて確認し、取り敢えず今日は丸太の本数を増やせるまで増やしてやる事になった。

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作者名:ゼパル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/bf379540b81  
作成日時:2023年8月24日 23時

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