63：星空に願いをかけて＿３ ページ21
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｢俺と玄弥が再会したのは蝶屋敷だった。確か任務の帰りでたまたま寄ったんだったかなァ。そこで数年ぶりに玄弥に会った。そん時に初めてあいつが鬼殺隊に入ったことも、呼吸が使えねェからって鬼喰いしてるってのも知った｣
暗い森の中をゆっくりと歩みながら、不死川くんが大きく息を吐く。
｢……俺から喧嘩をふっかけたんだァ。そん時は多分一番荒れてた時だったのもあって、そん時は反射で玄弥を半殺しにしようとしたんだァ｣
｢半殺し……？｣
私が驚いて思わず口を挟むと、彼は少し首を傾げながら笑った。
｢ぃんや、そん時は日柱がいたからすぐに止められたなァ。流石にそん時は諦めて大人しく帰った。後から時透さんと胡蝶さんに怒られて、玄弥とは無期限の接近禁止令を出されちまって、そっからは会えなくなった｣
｢そっか……｣
｢まあ今思えばこうなる事が予想出来たから俺に教えられなかったんだろうし、そもそも教える義理も無かったってのもあったとは思うけどよォ。鬼殺隊に入った事くらいは教えてくれても良かったんじゃねェかなって時々思うんだ。俺だって別に好き好んでた玄弥を痛ぶりてぇわけじゃねぇし……｣
私の手を握っている不死川くんの手にほんのり力が入り、歩くのがゆっくりになった。
｢これはまだ誰にも言ってねェ事なんだけどよ、俺はさァ、アイツは……玄弥は普通の人間と同じように生活してるもんだと思ってたんだよなァ｣
｢うん｣
｢それがまさか鬼殺隊に入って、呼吸が使えねぇからって鬼を喰いながら戦うなんて……意味わかんねェだろォ？｣
｢……｣
｢……玄弥には俺みたいになって欲しく無かったんだァ。仲のいい友達と遊んで、良い嫁さん貰って、沢山家族を作って、爺になるまで生きていて欲しい。だから鬼殺隊なんか今すぐ辞めて、太陽の下で元気に笑っていて欲しい。だから俺は……玄弥を拒絶した｣
(だから半殺しなんだ……。ある程度回復すれば、普通に生きていけるようにって……)
｢でも結局はそれが仇となってこんなんになっちまってるけどな。時透さんに"玄弥の立場になって考えてみれば"って言われたけど、先入観のせいで玄弥の気持ちは分からねェし、ハァ〜｣
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作者名：ゼパル | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/bf379540b81
作成日時：2023年8月24日 23時
