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62:星空に願いをかけて_2 ページ20

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二人で丸太に腰かけ、少しの肌寒さと澄んだ空気と花の香りに包まれながら星空を眺める。


「ねぇ、どうやってこんな所見つけたの?」


「気晴らしに歩いてたら偶然。誰も来ねぇし丁度いいだろォ?」


「うん。考え事したい時とか、ボーッとしたい時はここに来たくなるかもね。ちょっと今の季節は寒いけど……」


「もうこの気温に慣れちまってるからかあんま気にしなかったなァ。本当なら春頃に来るのが丁度良いか?」


「そうだね。春になったらもっと色んな花も咲くだろうし、きっと凄く綺麗だと思う」


足元に咲く花を一輪摘み取り、不死川くんの頭に何となくで付けてみる。


「ふふっ」


私の予想外の行動に驚いた彼が体をビクッと揺らし、それを見てついつい笑ってしまう。少しムッとした不死川くんに頬を優しく掴まれ、私も吃驚してしまった。
暫くして恥ずかしさが込み上げてきたのか、彼が気恥しそうに笑いながら手を離した。


「お花似合ってるよ」


「嘘だなァ」


「本当だよ。次は花冠作ってあげるから」


「次もやんのかよォ……」


「もちろん。何なら今作ってもいいよ」


私がまた足元に咲いている花に触れると、不死川君の大きな手が私の手を覆った。


「……今やんのは勿体ねェ。次は色んな花が咲いてる時に頼む」


「うん、わかった」


そのままお互いの冷たくなった手を温め合うように軽く握りながら、静寂の中でまた星空を眺める。
不死川くんが軽く吐息を漏らすと、白くふわふわとした霧になって空を舞った。私も真似をしてふっと息を吐き、同じように白い霧が舞ってすぐに消えてしまった。


「そろそろ冷えてきたし、戻るかァ」


そう言って不死川くんが立ち上がり、私も釣られて立ち上がる。繋いでいた手が自然と離れ、丸太の上に敷いていた隊服を彼が掴んで羽織り、両手を組んでグッと上にあげて大きく息を吐いた。


「帰る前にひとつ聞いてもいい?」


「ん?」


「不死川くんは……なんで玄弥くんと喧嘩したの?」


私が彼の名前を出した途端、不死川くんの瞳孔が大きくなる。


「……」


空気が一瞬ピリつき、少し緊迫した時間が流れたが、強めの風が吹いて私がくしゃみをしてしまった。
不死川くんがハッとした様子で私の手を掴み、ゆっくりと歩き出す。


「話したくなかったら話さなくても大丈夫だよ。ごめんね」


「いや……話してやるよ」


「!」


「……その代わり、誰にも言うなよ」


「もちろん!」

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作者名:ゼパル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/bf379540b81  
作成日時:2023年8月24日 23時

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