56:最後の修行_6 ページ11
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岩柱の稽古を初めて3日目、今度は明が岩を動かし終わり、「頑張れよ」とだけ私たち言い残して山を下りていった。
そして4日目、昼食時に霞柱の継子である不死川君が合流した。
天元と川魚を食べながら、痣のことに関して話している時だった。
「遅かったね」
「時透さんに足止めくらってたんだよ」
不死川くんも岩に腰かけ、一匹だけと言って川魚を食べ始めた。
「継子あるあるだよな。マジで手加減してくんねぇの」
「でもその分他の人より強くなれるよね」
「前向きに考えればなァ。でもたまに一方的に嬲ってくんのだけは許せねェだろ」
「私された事ないからわかんない」
「確かに日柱はしなさそうだな。優しく教えてくれそう」
「でも教えるの下手だよ?」
「それ時透さんからも聞いたんだけどよォ、本当なのか?」
「うん。殆どが擬音語だからわかんないの。だから目と匂いで覚えて、最後は体に叩き込むって感じ」
「うっわ、辛そ」
「慣れれば余裕だよ」
他愛の無い話をしながら昼食を終え、また各自で自分のやるべき訓練に取り組んでいく。
また今日も岩を押していくが、全く動かせずに一日を終えようとしていた。
「よっ、A」
「へっ!?」
夕暮れ時になり、岩の前で横たわって考え事をしていると、ふと上から優しげな声が聞こえた。
「玄弥くん!」
「久しぶり。元気にしてた?」
「超元気!」
もう一年くらいは会っていなかったと思えるほど、本当に久々に会えた。
彼は不死川くんの弟で、呼吸を使えない代わりに、鬼を食べて戦うという特殊な戦い方をする隊士だ。
「炭治郎の事は残念だったな」
「うん……」
初めて玄弥くんに会ったのは、師範と私だけで任務に出向いていた時だった。彼は鬼喰いした直後で、姿も気配も鬼のようになっていた。
師範はそれを見て、柱という身分を明かさずに彼と接し、悲鳴嶼さんの元で修行できるように取り持ってくれたらしい。
ついでにしのぶさんの元にも連れて行き、体の具合を見せて二人して怒られたというのも聞いた。
それほど師範と玄弥くんは仲が良く、歳が離れていても友人のように笑いあっていた。
「そうだ。玄弥くん、お兄ちゃんにはもう会ったの?」
「いや、会わねぇよ」
「なんで?」
「きっと喧嘩になっちまうからな。折角炭治郎のおかげで少しだけ仲が戻ったのに、悪化させるのは良くないだろ」
「そっか……そうだね」
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作者名:ゼパル | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/bf379540b81
作成日時:2023年8月24日 23時