#26 ページ26
心の準備が出来ていないから勘弁して欲しいと伝えると
目黒くんは、何故か嬉しそうに承諾して私から離れた。
断られているのに嬉しい理由が私には分からないけれど
取り敢えず、私の心の安寧は保たれたことになる。
｢絶対明日の方がいいのに、帰って倒れたりしないでね？｣
｢心配してくれるんだ？Aさん｣
｢…わ、私のせいで倒れられたら目覚め悪いでしょ｣
｢素直じゃないなぁ。ま、そこが可愛いですけど｣
｢かっ、揶揄うの禁止｣
同じ家から一緒に出るだなんて、想像もしえなかったことが起きて
非日常が私を襲う。
私だけ私服で、目黒くんはスーツのままだ。
なんだか、私だけがワクワクしているように見えないだろうか。
なんて考えていると目黒くんが足を止めた。
｢着きましたよ、入りましょ？｣
｢え？ここって…｣
ずんずん進んでいく目黒くんに置いていかれないように着いて行くと
｢大人2枚お願いします｣
私もお金を出そうと準備をすると、目黒くんはそれをちらっと見て手で制してくる。
私も出すよと言っても全く聞く耳を持ってくれない
｢お席は、カップルシートで宜しかったですか？｣
｢え？あ、か、カップルでは無いの＿＿＿＿｣
｢はい。カップルシートで｣
｢ちょっと目黒くん！｣
｢なーに？A｣
しまいにはこうやって、私をまた揶揄う。
急に呼び捨てで呼ばれたら、驚いて反応できないことを目黒くんは分かっててやってる確信犯だ。
結局受付のお姉さんに、仲のいいカップルですね。とか勘違いされたまま
カップルシートにされてしまった。
あまり受付でごねて他のお客さんに迷惑をかける訳にもいかないから、差し出された手を軽くきゅっと握ると
目黒くんは、満足気な顔でまた歩き出したのだ。
｢おぉー。これ寝っ転がれんじゃん。…Aさん｣
そう言って寝っ転がると、腕枕のような形をして空いているスペースに私を呼ぶようにポンポン叩く。
寝るの？私、目黒くんの腕の中で？
そう思うと中々1歩を踏み出すことが出来なくて棒立ちしてしまう。
いや、だって付き合ってても躊躇するような状況で
彼氏じゃない人なんてもっと躊躇する。
｢寝っ転がった方が、特等席って感じしますよ。ほら｣
｢わ、ぁっ！｣
結局引っ張られて体制を崩した私は結果的に目黒くんの腕の中に入ってしまうと
心臓が大きく跳ねてうるさくなった。
｢目黒くん｣
｢んー？どうしました？｣
｢急に呼び捨てしないで｣
｢んふっ、それ言うの今なんだっ…！｣
プラネタリウム、私は集中出来るのだろうか。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1068人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かず(プロフ) - こんにちは！ドキドキしながら読ませていただき、2つ分、一気読みしちゃいました！これからも更新、楽しみにしています！ (4月21日 11時) (
レス) id: 69d89bba8e (このIDを非表示/違反報告)
清乃(せいの)(プロフ) - わたあめさん» わたあめさん！コメントありがとうございます！とても嬉しいです！頑張ります！これからもよろしくお願いします！ (3月17日 19時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 続き楽しみに待ってます (3月17日 16時) (レス) @page30 id: c3da2a518a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：清乃(せいの) | 作成日時：2024年2月20日 9時
