#15 ページ15
｢A、沖縄と言えばー？｣
｢……暑い…｣
｢違うでしょ、海でしょ？海｣
千景には申し訳ないと思っている。
でも私はもうホテルに着いた時点でHPが0なんです。
正直外が暑すぎて、この空調の効いた素晴らしい部屋から出るなんて考えられない。
確かに、綺麗な、透明度の高い海は帰ったら絶対見れないことくらい分かる。
それと天秤にかけても、私はこの空調の効いた部屋から出たくない。
｢日焼け止め塗っていきなよー｣
｢Aも行くんだってば。持ってきたでしょ？水着｣
｢いや、全然？私アイス食べてソーキそば食べて、水族館行くことが目的……ごめん｣
｢男3人が彼氏持ちの水着見て喜べるわけないでしょ。買いに行くよ｣
千景の圧のある顔に勝つことは出来ず、引き摺られるように部屋を出ると
エントランスには、待ってましたと言わんばかりの3人がいた。
｢すみません、この子ゴネちゃって｣
｢ちょっと、人聞きの悪いこと言わないでよ｣
千景が事情を3人のうち誰かに連絡を入れていたのか、スムーズに私の水着を買いに行く流れができていて
渋々最後尾を、猫背で歩く私と
太陽かってツッコミを入れたいくらいに眩しい笑顔で歩く目黒くん。
｢俺が選びたいです｣
｢ノーセンキュー｣
｢えー、じゃあふっかさんとか阿部ちゃんに選んでもらったの着るつもりですか？｣
自分が着るものくらい自分で選ぶって意味の、ノーセンキューだったのだけど彼の解釈と私の解釈に違いが発生してしまったせいで
頬を膨らまし始めた目黒くん。
女子社員がクールだけど笑った時の顔が素敵なの！と言っていたけれど
これを見せたい。
子供のように頬をふくらませて私をジト目で見る彼を。
クールなのか、これは。
｢Aさん｣
｢なに？｣
｢俺にヤキモチ妬かせたいの？｣
｢いや＿＿＿＿｣
そう言った瞬間に、深澤さんがめめー？お前は阿部の隣だ！と呼んで1番先頭に連れて行ってしまって
弁明する時間さえも貰えずに、ふっかさん邪魔しないで！と先頭から聞こえてくる。
｢なーにが邪魔しないで！だっつーの。俺だってAと一緒に居てーし｣
なぁ？と言いながら私の頭を撫でる深澤さん。
｢超ヤキモチ妬いてたんだけど、俺｣
｢え、あ、すみません｣
｢だめー。許しません｣
いつもならニコニコしながらAだから許す！と言うのに
今日の深澤さんはなんと形容したらいいのだろう
｢あ、深澤さ…｣
急に大人っぽい顔で艶やかしい顔をすると私の手を絡めて
｢Aだーめ。今は俺の時間だから｣
大人の男の人に見えた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1069人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かず(プロフ) - こんにちは！ドキドキしながら読ませていただき、2つ分、一気読みしちゃいました！これからも更新、楽しみにしています！ (4月21日 11時) (
レス) id: 69d89bba8e (このIDを非表示/違反報告)
清乃(せいの)(プロフ) - わたあめさん» わたあめさん！コメントありがとうございます！とても嬉しいです！頑張ります！これからもよろしくお願いします！ (3月17日 19時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 続き楽しみに待ってます (3月17日 16時) (レス) @page30 id: c3da2a518a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：清乃(せいの) | 作成日時：2024年2月20日 9時
