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"まもなく離陸いたします"
出来れば絶対聞きたくなかったアナウンスに恐れおののきながら懸命に違うことを考えている。
好きな食べ物、嫌いな食べ物、なんでもいい。
気が逸れることならと思っても私の脳内は恐怖の2文字に支配されてしまっている。
｢……Aさん、Aさん｣
｢え、あ、な、に？｣
私が目黒くんの方を振り向くよりも先に、私の手を握って優しい顔で私に笑いかけた。
怖いのがバレたらとかあれだけ考えていたのに、何故だろうか安心してしまいそうになるのは。
｢俺めっちゃ怖いんで、手繋いでもいいですか？｣
｢え？…うん、いい、よ｣
これは嘘だ。
怖い顔なんて微塵もしていない癖に
私の血の気の引いて冷たい手とは対照的に、君の手はとても暖かいのに。
多分、目黒くんは私が乗れないのを分かっている。
分かってて、周りに悟られないようにしてくれたんだ。
｢ﾋｯ……うっ…｣
｢可愛いなぁ、本当｣
ありがとうと伝えようとしたのに、離陸してしまったおかげで怖くて彼の手を思い切り握ってしまった。
何か言っていた気がするけれど私の心はそんなことよりも何よりも、落ちたらどうしようという不安の考えに支配されているのだ。
｢A！窓の外見てみな、すげー高ぇから！｣
｢え、あ……｣
｢ふっかさん、しー。｣
私の声に被せるように目黒くんが深澤さんに話しかける。
それと同時に私の目を手で覆うと
｢Aさん、寝てるから｣
｢あ、マジで？ごめん｣
私は全く寝てないというのに寝たことにしてくれて
私の頭を彼の方に倒されてしまった。
すると、私にしか聞こえない低くて、でも優しい声で
｢俺が守るから、安心して寝てください｣
そう囁いた。
手は繋いだままで、目を瞑っていると本当に私は深い眠りの世界に落ちてしまって
｢阿部ちゃん、Aなら俺が起こすよ｣
｢あー、ふっか見ない方がいいよ？｣
｢Aの寝顔見せろ！1人で堪能すんな！！！｣
まさか着陸にも気づかないほどなんて思わず
｢私も見たいでー……あら、仲良し。深澤さん、ヤキモチ妬きますねコレは｣
｢でしょ？だから、ふっか来ないで｣
｢やだね！そこまで隠されたら見た……おぉーい!!!めめ！起きろ！｣
私は目黒くんの肩を借りて
｢ん……着いた？｣
｢着いた？じゃねぇ！羨ましすぎだろ！お前！｣
｢ふっかさん、ダメです。Aさんの隣は、俺だけ。｣
目黒くんは私の頭に寄りかかって寝てしまっていたようだった。
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かず(プロフ) - こんにちは！ドキドキしながら読ませていただき、2つ分、一気読みしちゃいました！これからも更新、楽しみにしています！ (4月21日 11時) (
レス) id: 69d89bba8e (このIDを非表示/違反報告)
清乃(せいの)(プロフ) - わたあめさん» わたあめさん！コメントありがとうございます！とても嬉しいです！頑張ります！これからもよろしくお願いします！ (3月17日 19時) (レス) id: 4f36815b2b (このIDを非表示/違反報告)
わたあめ - 続き楽しみに待ってます (3月17日 16時) (レス) @page30 id: c3da2a518a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：清乃(せいの) | 作成日時：2024年2月20日 9時
