玉狛支部のフリーター (ページ13)

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フリーター駆け回るページ13

『こら～！陽太郎ー！！』

Aが陽太郎を呼び捨てにする時は真面目に怒っている時だけ、怒らせた陽太郎もこれはまずいと走って逃げる。

｢くっ、まずいな...！！らいじんまる！｣

自分の足では限界があると感じた陽太郎は雷神丸に乗って移動しようとした。

が、雷神丸は特別陽太郎の言うことを聞く訳では無い。

むしろAの方に懐いている、そのため自ずとAの元へ足を動かす。

『ん、雷神丸お利口さん。陽太郎、こっち向きなさい』

｢うぐ...｣

捕まった以上抵抗はしない陽太郎。

Aがここまで怒るのは珍しく、陽太郎もオドオドし始める。

『どうして屋上の端っこで遊んでたの、あそこ危ないから誰かと一緒にじゃないとダメって約束したでしょ？』

｢らいじんまるはいっしょだった…｣

『言い訳やめなさいね』

玉狛支部の基地は川の上に経っているため屋上から落ちれば最悪溺れてしまう。

地面じゃないだけマシかもしれないが陽太郎にはまだ泳ぐ術も何も無い。

『…陽太郎』

｢悪かった...｣

しかめっ面でじぃっと陽太郎を見やるAに、さすがの陽太郎も反省の色を見せた。

けれどしょんぼりしながら謝る陽太郎にまだ怒りが収まらない。

Aも本当の弟のように可愛がっている陽太郎の事を考えると心配で仕方ないのだ。

｢ただいま～、ってあれ林も陽太郎もいんじゃん…どしたの？｣

『わかってるんでしょ、聞かないでよ』

シーンとしたリビングの雰囲気を見て訪ねる迅にむくれて返すA。

説明する度に見つけた時の焦りが蘇ってしまう事にA自身も焦っているのだ。