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「なんで、」
末「言うたやろ、送るって。」
勝手にシートベルトをつけて、「ちょっと下げるで」とシートを倒す。私が酔った時いつもこうして介抱してくれた誠也。
これ以上、何を言っても無駄やろうと、諦めた。
彼女には申し訳ないとか、そんなん思ってやらへん。
「ちょっと窓あけていい?」
流石に車の揺れと、好きだと言った芳香剤の匂いに気持ち悪くなってきた。
末「ええで、」
特に会話もなかったので、目を閉じて早く家に着くことを願った。
末「……おーい、着いたで」
「ん〜、、あり、がとう」
なかなか起き上がれずにいる私を見て「まだ気持ち悪いんか?」と優しい声。
「だい…じょーぶ」
ゆっくりと起きあがろうとする私の胸元に手が伸びて、かと思えば開放感。
「ちょっ、なっ…」
シャツのボタンを一つ、二つと外した誠也は「緩めたら楽になるって教えてくれたん星宮さんやろ?」と、三つ目のボタンに手を掛ける。
「もう大丈夫やからっ…!」
末「A…」
愛おしそうに私の頬に手を添えて、誠也は私の名前を呼んだ。このままやと、間違いが起きる。でも、それでも…
「せ、ぇや」
涙で目が潤って、誠也の顔がハッキリ見えへん。でも、顔が近付いてくるのは分かる。
その瞬間、車内に響くバイブの振動。それは、タイミングを見計らったかのように止まる事はなくて。
「彼女…じゃないん…」
末「大丈夫、」
「ごめん、私が大丈夫じゃないわ。送ってくれてありがとう」
あの電話がなかったら、私たちは止まることはなかった。
…キスしてた。今の誠也にはちゃんと大事な人がおるのに…誠也もサイテーやけど、私もサイテーや。
正「はいはいちょっと待ってね、今開けるから」
ドア越しに聞こえる正門くんの声に、何故か安心の涙が込み上げる。
ドアが開いた瞬間、私は彼の胸にしがみついて泣いた。
正「わっ、、どないしたん?何か嫌なことあった?」
「…忘れたいのにっ…忘れさせてくれへんっ……」
正「ん、とりあえず中入って?話聞くし泣きたいだけ泣いたらええから」
しがみついたまま離れへん私に、「手ぇ掛かるお嬢さんやなあ、」と靴を脱がせたかと思うとそのまま抱き上げた正門くん。
「うぅ〜、」
ソファーに降ろされた私は、アルコールのせいと誠也のせいでグダッと項垂れる。
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ゆうゆ(プロフ) - ふさん» えぇえ🤩ほんまですか、嬉しすぎますー!コメント見てニヤけました🤭❣️ (2023年3月17日 21時) (レス) id: adb2dda066 (このIDを非表示/違反報告)
ふ - この作品大好き過ぎます、🥺💓これからも楽しみにしてます✊🏻🌟 (2023年3月17日 14時) (レス) @page39 id: 77b65fcba7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ゆうゆ | 作成日時:2023年2月17日 14時