29 ページ29
チャンネルをコロコロ変えても見たいものはなくて、リモコンをテーブルに置いた。正直言うと、テレビを見る気分ではない。
明日は休日やし、誠也に会わずに済むってことが何よりの救い…
『会いたい』と我儘を言った自分と、『会われへん』と突き放した誠也。
考える。なんて言っておきながら、実はもう答えは決まっているんじゃないか。無理なら無理って言ってくれた方が楽なのに。
正「おまたせ〜ごめんなあ？」
「全然。もっとゆっくり入ってきたら良かったのに」
明らかに急いで入ってきたのが分かる。Tシャツ反対着とるし…笑
「正門くん…笑 服反対やで」
正「えっ？ふはっ、ほんまやん笑」
両手を抜いてクルッと服を回転させると、へらっと笑った。
正「なんか面白いテレビやってた？」
「んやー、ないかな、」
正「そんな気分ちゃうか、ごめん。」
正門くんが謝ることなんて何もないのに。
正「なんか飲みながら話しよか。」
そう言うと、自分用のお酒やおつまみをせっせと準備して。キッチンから「Aは何がいい？お酒？お茶？コーヒーとかにする？」と、多分自分家にあるものを一通り紹介してくれた。
「お茶にしようかな。」
正「せやな、さっき一回潰れたらしいから」
「大橋くん喋ったな〜」
正「お隣やし潰れてくれても大丈夫よ？」
そっからそこやし！みたいなノリで正門くんは笑った。
「またにするわ」と返すと、「その時は泊まって行きなぁ」とテーブルにお茶を持ってきてくれた。
正「Aが話したいことだけ話したらええから。俺のことは、透明人間やと思ってくれてええし。」
そう言ってくれて、私の心は自然と穏やかになった。何があったん？って聞いてくれても勿論良かった。でも、私が話し易いように考えてくれる彼の優しさが嬉しかった。
途切れ途切れではあったけれど、誠也とのことを話した。
正門くんと私は背中合わせに座って、時々私が言葉に詰まるとその間にお酒を飲んだりして。
ええ大人が、こんなことで悩んで足掻いてあほみたい。
周りの同年代の人は結婚もして子供もいて、『家庭』を築いているのに。
私の悩みって、ほんまにくだらんなぁ。
正「悩みの大小は他人が決めることちゃうから。どれだけ辛いとか心の痛みなんて本人にしか分からんと思うで？」
やっと口を開いた正門くんの言葉は、簡単に私の涙腺を崩壊させた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 862人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆうゆ(プロフ) - ふさん» えぇえ🤩ほんまですか、嬉しすぎますー！コメント見てニヤけました🤭❣️ (2023年3月17日 21時) (
レス) id: adb2dda066 (このIDを非表示/違反報告)
ふ - この作品大好き過ぎます、🥺💓これからも楽しみにしてます✊🏻🌟 (2023年3月17日 14時) (レス) @page39 id: 77b65fcba7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆうゆ
| 作成日時：2023年2月17日 14時
