逆さの月 ページ20
「お前、高校生辞めて料理人にでもなれよ」
「そんなに美味しかった？」
「………美味しかったです」
「何故に敬語」
おっさんに絡まれガチギレの悪魔を窘めて、やっとこさデート気分のバカから解放された。
すんごく疲れた。
今日1日で色々ありすぎて疲れた。
これからもコイツと一緒に過ごさなければならないのかと思うと頭が痛くなる。
こんなとんでもない問題児を抱えて、果たして俺は生きていけるのか。すごく不安だ。
しかし、コイツの作ったカレーが想像以上に美味すぎて、ま、いっか！と思ってしまうあたり、俺はコイツに毒されてきてるのだろうか。
解せぬ。
「まだ転校してきて1日目だよ？僕は君の側から離れるつもりなんてさらさらないから、料理人にはなりたくないなあ」
「…まあ、俺としてはお前がどっか行ってくれた方が都合が良いんだが」
「あはは、A君ったら冗談が上手いね」
「冗談じゃないぞ」
俺の言葉に聞く耳を持たない悪魔は、食後のコーヒーを優雅に啜っている。
ほんとコイツ都合の悪いことは全然耳に入らねえな。
俺もマグカップを手に取りコーヒーを飲む。
カレーの後を考慮してか、砂糖少し多めにミルクが入った甘い味だ。しかも程よく温い。
意外と気が回るらしい。さぞかし異性にちやほやされることだろう。ムカつく。
「……」
何でコイツうちに転がり込んで来たんだろう。
コイツは俺のことが好きだと言っていたが、俺はコイツにこれ程までに好かれることをした覚えはない。
まあ、記憶ないんだから当たり前なんだが。
だから尚更気になる。
契約を果たすためだけなら、こんな回りくどいことをする必要はない。
コイツの目的は一体なんなんだ。
俺にこんな世話焼いて何がしたいんだ？
俺は悪魔の顔をじっと見つめる。
やはりコイツの目は俺とそっくりな色をしていた。
「…ん、どうかした？」
俺の視線に気付いた悪魔が、にこりと笑う。
しかし溢れ出る疑問が俺の口から出ることはなか
た。
結果なんて見えてる。きっと教えてくれない。
今はまだその時ではないんだろう。
焦ることはない。理由はわからないが、この様子ならコイツは俺から離れようとはしないから。
…だから、少しだけ我慢しよう。
「…明日の朝は、和食がいいなあ」
俺のその言葉にセーレは心底驚いた顔をしたが、やがて蕩けるような甘ったるい笑みに変わった。
「まかせて」
窓から見える夜空には、逆さの月が浮かんでいた。
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ハルキ - いくら中性的で女に間違われるからって...男の娘とは言わないと思います...(男の娘地雷ッス←関係ない) (2021年10月11日 21時) (
レス) @page22 id: 8862a535cf (このIDを非表示/違反報告)
アリア - なんで儂好評価してないんだろ。バカか (2019年7月12日 17時) (レス) id: 39676cde20 (このIDを非表示/違反報告)
Ratte*らて(プロフ) - 面白いです…！！！100個目の評価は頂きました←。更新頑張って下さいね！陰ながら応援しております。 (2019年3月19日 15時) (レス) id: 9c512a775a (このIDを非表示/違反報告)
アーテル(プロフ) - らいさん» 返信遅れて申し訳ありません。コメントありがとうございます。時間を見つけて書き進めていく所存ですので、今後ともご愛読の程宜しくお願いします。 (2019年3月18日 15時) (レス) id: 5f656bed23 (このIDを非表示/違反報告)
らい - 続きが気になります。
続き楽しみにしています。 (2019年2月23日 16時) (携帯から) (レス) id: 2b97e5f6a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アーテル | 作成日時：2019年1月3日 14時
