放課後 ページ16
「覚えてるわけないよなぁ…」
そっと呟いたその言葉は、呆気なく女子達の黄色い声に掻き消されてしまった。
隣の席では、相変わらず女子達からの猛攻撃を受けて動けない変質者がいる。
屋上から戻ってきてからずっとこの調子だ。もう放課後なのに。
ざまあ。イケメンであることを悔やめ。
「はあ…」
昼休みの出来事を思い出して、俺は思わず溜め息を吐いた。
今まで何度も思い出そうとしたのだ。
しかし無理だった。いくら考えても辿り着けない。
俺を引き取ってくれた親戚の人にも尋ねたことがある。だが決して教えてくれなかった。
だから、もう諦めていたのだ。
なのにあのバカときたら、せっかく諦めをつけていたというのにそれを踏み躙りやがって。俺の10年を返せ。
「………帰ろ」
変質者のことなんか知るか。イケメンなのが悪い。
今日は部活がない日だが、帰る家が一緒だからってわざわざ待ってやることもない。
俺は変質者を置いて教室を出る。
アイツは、俺が1人で行ってしまったことに気付いたようだが、あの様子だと女子の拘束から抜け出すのには時間がかかるだろう。
精々苦しむがいいわ。
内心ほくそ笑みながら、俺は歩を進める。
「A君」
しかし丁度玄関に差し掛かった、というところで名前を呼ばれた。
しかもこの声は…
「…テメエ、女子の包囲網はどうした」
「そんなの僕にかかれば抜け出すのは容易いことさ」
声のした方に振り向けば、予想通りそこには憎たらしい笑みの変質者がいた。
こちらに向かって手を胸の高さで小さく振りながら、俺の靴箱の前で待ち伏せている。
え？俺コイツよりも早く教室出たよね？
なんで俺よりも先に来てんの？
「それにしても驚いちゃったよ。日本の女ってあんなにガツガツくるもんなんだね。ヤマトナデシコっていうのは嘘だったのかな？」
なんでもないように外国人の感想みたいなものを述べる変質者に、思わず小さく舌打ちした。
とりあえず、俺はさっさと靴を取って早足で学校を出る。
変質者も俺の後ろをぴったりくっついてくる。
つーか俺が早足なのに、コイツは普通に歩いてるだけなのが解せない。高身長滅ぶべし。
「あ、そうだ。帰りにスーパーに寄って行こうよ。冷蔵庫ほとんど空っぽだよ」
あー、そういえばそうだったか。
確か今日はタイムセールがあったはずだ。丁度いいだろう。
「そうだな。流石に夕飯抜きはキツイ」
荷物は全部コイツに持たせよう。
固く決心した。
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ハルキ - いくら中性的で女に間違われるからって...男の娘とは言わないと思います...(男の娘地雷ッス←関係ない) (2021年10月11日 21時) (
レス) @page22 id: 8862a535cf (このIDを非表示/違反報告)
アリア - なんで儂好評価してないんだろ。バカか (2019年7月12日 17時) (レス) id: 39676cde20 (このIDを非表示/違反報告)
Ratte*らて(プロフ) - 面白いです…！！！100個目の評価は頂きました←。更新頑張って下さいね！陰ながら応援しております。 (2019年3月19日 15時) (レス) id: 9c512a775a (このIDを非表示/違反報告)
アーテル(プロフ) - らいさん» 返信遅れて申し訳ありません。コメントありがとうございます。時間を見つけて書き進めていく所存ですので、今後ともご愛読の程宜しくお願いします。 (2019年3月18日 15時) (レス) id: 5f656bed23 (このIDを非表示/違反報告)
らい - 続きが気になります。
続き楽しみにしています。 (2019年2月23日 16時) (携帯から) (レス) id: 2b97e5f6a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：アーテル | 作成日時：2019年1月3日 14時
