嘘 ページ13
うちの学校は情報規制が厳しい。学校側から個人情報が漏れるなんて有り得ない。
そういやコイツ、俺の家まで知ってたな。
…いやまて。コイツは俺の鞄に潜んでいた。
家の位置を把握しているなら、待ち伏せなりなんなりする筈じゃないのか?
ということは、住所まではコイツに知られてはいない。
だが確かに、あの時アイツは俺の名前を呼んだ。
はじめましてって言ってたし、俺とアイツの間に面識はおそらくないんだろう。
…これも悪魔の力なのか?
その人見ただけで名前がわかる力とか?
それなんてデ○ノート?
「なあ、悪魔の力って、心の中覗き込んだり記憶を漁れたり…見ただけでその人の名前とかわかったりするの?」
「いや流石にそこまでは…。事実を少し書き換えたり、人間とか自由に操れたりはするけど…」
いやそっちの方がすごいんだが。チート過ぎるわ。
…なるほど。コイツがどうやって学生になって、この高校に入れたのかがわかった。
いや違うそうじゃない。
コイツがさっき言った通りだと、何故俺の名前を知っているのかの説明がつかない。
やはり俺はコイツと以前面識があるのだろうか。
俺が忘れてるだけ?
仮にそうだとして、何故コイツはそのことを俺に教えない?
後ろめたいこととか、どうしても教えられない理由でもあるのか…。
「なあ………セールスマン」
「セーレだってば!僕君に押し売りなんてしてないよ!」
押し掛けてはきてるんだよなあ。
まあ、今更ツッコむことでもないか。
「お前、俺に嘘ついてない?」
単刀直入に切り出す。
別にこの問題を放置してもいいのだが、後になって後悔するかもしれない。
コイツは一応悪魔なのだ。油断は禁物だ。
「……嘘?」
たった2文字の、それだけの言葉で場の空気が一変した。
まるで鉛の中に沈められたかのように空気が重い。
靴の底には得体の知れない強い引力が生じて、今すぐにでもこの場から逃げ出したいのに、それが出来ない。
思うように息が吸えない。
心臓は馬鹿みたいに喧しく脈打っている。
冷や汗が首を伝う。
悪魔は笑った。
それがあまりにも完璧過ぎて、俺は背筋が凍りつくのを感じた。
悪魔は手を伸ばし、俺の頰にそっと触れる。
繊細な硝子細工を扱うように、それはもう優しく、優しく。
そして…
「よかったあ、やっぱり忘れてるんだ」
酷く安心した様子でとても嬉しそうに、満面の笑みで確かにそう言った。
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ハルキ - いくら中性的で女に間違われるからって...男の娘とは言わないと思います...(男の娘地雷ッス←関係ない) (2021年10月11日 21時) (レス) @page22 id: 8862a535cf (このIDを非表示/違反報告)
アリア - なんで儂好評価してないんだろ。バカか (2019年7月12日 17時) (レス) id: 39676cde20 (このIDを非表示/違反報告)
Ratte*らて(プロフ) - 面白いです…!!!100個目の評価は頂きました←。更新頑張って下さいね!陰ながら応援しております。 (2019年3月19日 15時) (レス) id: 9c512a775a (このIDを非表示/違反報告)
アーテル(プロフ) - らいさん» 返信遅れて申し訳ありません。コメントありがとうございます。時間を見つけて書き進めていく所存ですので、今後ともご愛読の程宜しくお願いします。 (2019年3月18日 15時) (レス) id: 5f656bed23 (このIDを非表示/違反報告)
らい - 続きが気になります。
続き楽しみにしています。 (2019年2月23日 16時) (携帯から) (レス) id: 2b97e5f6a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アーテル | 作成日時:2019年1月3日 14時