裏目 ページ11
あのあほんだらを締め上げるべく、俺はホームルームが終るとすぐさま変質者を引きずって、人気のない場所へと移動しようとした。
しかし、アイツの人気は凄まじかった。
俺が行動を起こす前に、瞬時にクラスの女子達に取り囲まれてしまう。
そのままアイツは地獄の質問責めを受けることになり、その時の女子の勢いたるやまさに鬼神の如く…
俺が入り込む余地など一切なかった。
アイツもすげえ困惑していた。
女子って怖い…
結局あほんだらを回収できたのは、4時限目が終わった直後だった。
朝の二の舞にならないよう、刹那の速さでアイツの腕を掴み教室から引っ張り出し、そのまま全力疾走で屋上へと駆け込んだのだ。
おかげで息も絶え絶えの疲労ゲージMAX状態になっちまったじゃねえかよこんちくしょう。
「A君ったら強引なんだから…」
「口縫い合わすぞ」
少し頰を赤らめながらそんなことを言う変質者をぶん殴りたい衝動をなんとか抑えて、俺は息を整える。
つーか何でコイツ息ひとつ乱れてないの?
ムカつく。
「……それで?」
「うん?それでって?」
「…どういうつもりだ、学校まで来て」
変質者はきょとんとする。
「言ったでしょ?僕は君のそばにいたいんだ。だから僕は君と一緒にいるためならどこへだって付いて行くよ」
さも当然のように、何の疑いもなくそう言い放つ。
てっきり言葉を濁して誤魔化したり、もっととんでもない理由でもぶっ込んでくるかと思っていた。
それがこんな単純な理由なんて…。
怒ればいいのか、呆れればいいのか。正直拍子抜けだ。
「それに君、朝食の時ダメだって言わなかったし」
「は?言ったけど?」
コイツ頭だけでなく耳までやられてたのか?
「でも僕が、あの時のは君の隣って意味だったんだけどって言ったら、その後ダメだって言わなかったから、てっきり了承を貰えたのかと」
「………あ」
またやっちまったよまったくもう!
うん確かに!確かにダメって言ってなかったわ!
その後無かったことにしちゃってたわ!
有耶無耶にしたことが完璧に裏目に出ちゃったパターンだわ!100%俺の落ち度だわ!
「そうじゃなかったの?」
「うん…そだね…確かに何も言わなかったね……」
「よかった〜!」
俺のその言葉を聞いて、変質者は心の底から嬉しそうに顔を綻ばせる。
もうやだおうちかえりたい。
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ハルキ - いくら中性的で女に間違われるからって...男の娘とは言わないと思います...(男の娘地雷ッス←関係ない) (2021年10月11日 21時) (レス) @page22 id: 8862a535cf (このIDを非表示/違反報告)
アリア - なんで儂好評価してないんだろ。バカか (2019年7月12日 17時) (レス) id: 39676cde20 (このIDを非表示/違反報告)
Ratte*らて(プロフ) - 面白いです…!!!100個目の評価は頂きました←。更新頑張って下さいね!陰ながら応援しております。 (2019年3月19日 15時) (レス) id: 9c512a775a (このIDを非表示/違反報告)
アーテル(プロフ) - らいさん» 返信遅れて申し訳ありません。コメントありがとうございます。時間を見つけて書き進めていく所存ですので、今後ともご愛読の程宜しくお願いします。 (2019年3月18日 15時) (レス) id: 5f656bed23 (このIDを非表示/違反報告)
らい - 続きが気になります。
続き楽しみにしています。 (2019年2月23日 16時) (携帯から) (レス) id: 2b97e5f6a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アーテル | 作成日時:2019年1月3日 14時