この恋が叶わないように。 (ページ6)

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＃７side

「えー！いま買い物中ー」

出たわ、晩飯作るのめんどくさい時に言うセリフ。
ナナは家事炊事が苦手で頑張ってくれてるけど
２年目になって雑さが出てきた。
２日に一回は、惣菜。
お互い働いてるし、文句は言いたくない。
やけど、ちょっとでもええから手作りの料理食べたいやん。

「家で食べたいねんけど」

外食じゃダメ？って言うナナにそう言うと
なんで？って…。
もうええわー、このままじゃ喧嘩になる。

「…なんでって、いつも５時までやん。…もう自分でするからええで」

一方的に電話を切って振り返るとAちゃんが弁当バックを持って出て行こうとしてて
さっきまでの嫌な気持ちが少しずつ薄れてく。

「Aちゃんって、ええ嫁さんになりそうやわ」

引き止めるつもりは、なかったんやけど
なんか少しでもAちゃんが知りたくて。
弁当の話をしたら、一番得意なのは卵焼きらしい。

『いいお嫁さんになりたいですけど、迎えてくれる方がいなくて。笑』

「おるやろ！！俺やったら…」

あかん、あかん。
言ったら歯止めきかん…。
…俺のやったら絶対に幸せにする、なんて言えへん。

『西川さんは、男らしくて優しいご主人のイメージです』

冗談で言ってるって、わかってる。
けど嬉しい。

「ええ旦那、やとええけど」

俺たち夫婦は、側から見れば夫婦かもしれへん。
けどな、夫婦にもなりきれてへん形だけや。

愛情なんて、消えゆくもの。

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