夢番地 *black* (ページ10)

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目黒side

目「ラウール！聞いて！！」

ラウ「ちょ、めめ君！
堂々と遅刻してきてその笑顔はヤバいですって、！」

今日の練習は強化コーチが来る日。
遅刻など絶対に許されない日。

でも俺は自分の意思で遅刻した。
それでよかった。

めちゃくちゃよかった。

コーチ「遅せぇぞ」

目「すみません」

コーチ「アップ済ましたら10周走ってこい。練習の参加はそれからだ。」

目「はいっ！」

グラウンド10周で済むなら超余裕だ。

なんなら20周走ってもいい。

それくらい今の俺はなんでも出来る最強な気分だ。

このまま飛べんじゃねぇか
って気分でアップをしていると、

ひとり歩く伊藤さんを発見。

なんとなく目が合ってる気がして手を振ってみた。

そしたら、これまた律儀に頭を下げてお辞儀してくれて。

なんて可愛らしいんだろう。
俺は撃ち抜かれたように膝から崩れ落ちる。

きっと俺がこんなリアクション取っててあたふたしてんだろうなー。

ちょっとイジろうかな。

鬼コーチが見てないことを確認してから
伊藤さんの真似をして俺もお辞儀をし返してみた。

目「ーーっ、！！」

すると、伊藤さんはくすっとハニかんだ笑顔になって。

もう一度頭を下げて帰って行ってしまった。

目「やべー、、かわいすぎんだろ、」

伊藤さんが転校してから初めてみた。
あんな笑顔。

きっと今の俺の顔は真っ赤だ。

袖で口元を隠しながら叫びだしたい気持ちをなんとか堪える。

だめだ、このまま勢いで走っちゃおう。

ベストタイム出たんじゃないかってくらいのスピードで10周を走り切り、その後の練習も今日のメニューはとりわけキツイはずなのにすげぇいい気分で終えた。