夢番地 *black* (ページ9)

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でも、嫌いかと言われればそれも違う。

「きらいじゃ、ないです」

これが今の私が答えれる精一杯だ。

目「じゃあさお試しでやってみない？」

先生「いいじゃないか。目黒がいれば伊藤も安心だろ。」

ーーコクン

気づけば首は縦に振れていた。

目「マジ？やったぁ！」

じゃあ明日からね。
そういうとポンと私の頭に手を置いてから颯爽と教室を出て行ってしまった。

私も入部届を先生に提出してから帰ることに。

先生も一安心なようで「頑張れよ！」と背中をおしてくれた。

グラウンドを横切ればさっきまで教室にいた目黒くんが、端の方でひとりアップをしていた。

もしかして私のせいで練習に遅れてしまったのではないか。

いや、きっとそうだ。

申し訳なさを感じていた時、私に気づいたのが目黒くんが手を振ってきた。

、、どうしよう。

振り返すなんて馴れ馴れしいよね。

とりあえず頭を下げて答える。

すると、目黒くんはなにか面白かったのか
笑いながらしゃがみ込んでて。

変なことしちゃったかな、、

急に恥ずかしさに襲われていると、
立ち上がった目黒くんが私にお辞儀をした。

「ふふっ、」

まさか目黒くんがお辞儀をするなんて。
似合わなくて可笑しかった。

もう一度だけ、
さようならの意味を込めて頭を下げて校庭を後にする。

ーーサッカー、か、

明日から、私は変わっていけるのだろうか。

お母さん、知ったらどう思うのかな。
怒るかな。悲しむかな。
それとも、喜んでくれるかな。

...このことはまだもう少しだけ黙っておこう。

家に近づくほど私の足取りは少しずつ重くなっていた。