夢番地 *black* (ページ37)

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「、おまじないもかけたから。」

目「おまじない？」

「ふふっ、うん。
あともう少し、走り切れますようにって」

そういって大切な何かを扱うかのようにテーピングが巻かれた俺の足を両手で包み込んでくれた。

「それに、、」

目「ん？」

「今日の夜、歩けなくなっちゃったらやだから、」

目「ーーーっ、！」

んだよ、それ。
反則だろ。

楽しみにしてたの俺だけじゃないんだって期待しちゃうじゃん。

「スパイク履いて立ってみて？」

目「うわ、何これ」

「痛いところない？」

目「全然。むしろなんか軽く感じる。」

「よかった、」

今まで自分だったり、誰かにされてきたテーピングとは比べ物にならないくらい、本当の意味で俺の足を守って助けてくれる安心感がある。

取ってつけたような技術じゃない。
スポーツ医療をよくわかってる巻き方だ。

ありがとう、とお礼を言おうとした時だった。

『だれか代われますかっ！？』

部員が走ってきて、オフサイド判定を取るラインズマンをやっていた子が熱中症になってしまったと。

他に出来る人はみんな控え選手だし、、どうするか。

「あの、私できます」

コーチ「ほんとか！？伊藤！」

香山「伊藤ちゃん、無理だよ。
ずっと走りっぱなしなんだよ？」

ラインズマンは、常にボールの前線を見るために走り続けなければならない。

いくら判定ができるからといって、ましてや女の子に頼むことではないのは誰もがわかってる。

「後半だけなら大丈夫です。
意外と走れるんです、わたし。」

だから任せてください。と言って、俺に使ってくれていた救急箱を香山先輩に手渡せば、ラインズマンが使うフラッグを持つとフィールドに向かって颯爽と走っていった。

コーチ「、頼りになるな」

「「「……。」」」

部員みんな呆気に取られてる。

こんなにもなんでもできるマネージャーは今までにいなかったし、何よりそれが「伊藤さん」ということにいつも度肝を抜かれるんだ。

ラウ「俺らも頑張りましょ！！」

目「、、当たり前だろ。＂勝ち＂しかねぇから。」

何が何でも全部俺にボール通せ。

そう部員に声をかけて、いよいよ後半戦となった。