夢番地 *black* (ページ35)

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ーーーピピーッ！！

ファールの笛が鳴る。

目「っ、」

ラウ「おい！わざとだろ！」

『あぁ？んなわけねーだろ。』

目「ラウ、大丈夫だから。」

今日は俺へのマークと当たりが強くて、審判の見えないとこでのファールも特別多い。

正直サッカーってそういうスポーツだから上手く捌いていくしかない。

ただラウが怒ってるのはそれ以外の理由で。

ラウ「だって、明らかにさっきから左足狙ってきてるよ！」

目「......。」

それは俺も感じてた。

現に今のファールもボール越しに左足首までスライディングの脚が入ってきていた。

目「もうすぐ前半終わるから。気持ち切り替えろ」

ラウ「っ、！」

ラウールにそう声をかけたけど、実際には自分に言い聞かせていた。

ーーズキンッ

目「、、」

くっそ。

とりあえず、今を乗り切るんだ。

そして、そのまま【0-0】で前半が終わる。

ベンチに戻った俺はいち早くコーチに声をかけられ、後半は交代しようと言われた。

練習試合だからそんなにお前が身体張る必要ないと。

目「いや、俺ゴール決めるまでは下がりたくないっす。」

コーチ「目黒、」

目「お願いします。」

コーチ「ほんとにお前は...。
無理だけはするなよ。」

目「うっす」

こんなんじゃ下がれない。
せめて1点でもアイツらから取ってやる。

「目黒、くん」

作戦ミーティング終わると伊藤さんが遠慮がちに声をかけてきた。

「...後半も、出るの？」

目「うん。」

「足、」

目「、なに？」

「左足、みせて」

目「ぃゃ、」

「みせて」

彼女のこんなにも真剣な顔はみたことあっただろうか。

香山先輩とかほかの部員だったら意地でも断るけど、なんでか伊藤さんには出来なくて。

「ここに足乗せて、」

クーラーボックスにタオルをひいたところに俺の左足を乗せるよう言った。

泥だらけで汗かいてる足だしマジで嫌だったけど、俺より屈んでる伊藤さんは必然的に上目遣いになってて、極め付けに少し潤んだ瞳で見られたら素直に従うしかなくて。