夢番地 *black* (ページ33)

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「目黒くん、そろそろ終わりにしよう？」

目「え、やだ、もう一本」

「もうすぐ時間だし、

あと、足冷やさないと」

目「、っ」

「明日練習試合あるみたいだし。
この辺にして明日に備えよう？」

目「ぁ、うん」

「アイシングつくってくるね」

二人は何か会話をしたと思ったら
伊藤先輩はどこかに走って行ってしまって。

あれ、終わった、のかな？

目「、、」

ラウ「めめ君？」

またいつかの時のように足元を気にしている。

ラウ「...ねぇ、やっぱり、！」

目「いや、ほんとに違うから。」

それでも足元から目線が戻ってくる事は無い。

すると、伊藤さんが走って戻ってきた。

「目黒くん、お待たせ、っ」

はい、と当たり前のように渡しているのは
氷が入ったビニール袋で。

「あとは私片付けるから。」

目「…。」

「、目黒くん？」

目「あ、うん。ありがとう。
でも、俺もやるよ。」

香山「....、伊藤ちゃんのご厚意素直に受け取っときな、
私が手伝うから。
ほら！あんたは早く冷やす！」

目「…うっす。
伊藤さん、ありがとう。香山先輩も」

渋々ロビーまで一緒に戻って、
スパイクを脱いだめめ君は左足首に氷袋を巻き付けた。

目「なんでわかるんだろ、」

ラウ「それだけよく見てくれてるんっすよ」

目「嬉しいけど。
なんか、足の事なら...うれしくない。」

ラウ「めめ君、」

目「まぁ、明日練習試合だしな。
たしかにケアしとくべきだけど。」

あー、もう。
と頭にタオルをかぶせてうつむいてしまった。

めめ君の足のことは、仲がいい俺とか香山先輩でも直接話題に出すことはタブーというか。なるべく避けていた。

伊藤さんはめめ君の＂過去のこと＂を知らないはずなのに。

ましてやそんな素振りすら一切めめ君は見せてないのに。

なんで、わかっちゃうんだろう。

それにこの間もそうだけど、さりげなく気遣ってるのがまたなんとも言えなくて。

強がりのめめ君もこれだと強がれないというか、素直に従うしかないんだよね。それがもどかしいんだと思う。

今までこんなことする人いなかったもんね。

伊藤先輩、かぁ。

なんかますます不思議な人だ。