夢番地 *black* (ページ31)

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目黒side

次の日、

早朝の走り込みからのフィジカルトレーニング、パス練で午前中を終えて、午後はポジション練、チーム練と最後にハーフゲームをした。

『あーー！！きちぃーー！！！！』

『もう俺動けないわ、、』

さすが合宿なだけあって、練習メニューが終われば部員たちの疲労もマックスに。

俺も疲れてはいるんだけど、もう少しだけシュート練とかしたいなって思ってラウールにお願いしてパス出しを付き合ってもらう。

ラウ「あのメニューのあとまだやるってめめ君やばいっすよ、」

目「楽しいじゃん、ずっとサッカーできんだぜ？」

ラウ「でたよ、サッカー馬鹿…」

ボールカゴの分を全て蹴り終わってボール回収をしてると、自分の仕事も終わったのか伊藤さんもこっちにきて片付けを手伝ってくれた。

目「ありがとう」

「ううん、全然」

最後の1個を手に取った伊藤さんはカゴに戻すと思ったら、

ふわっと口角を上げて笑って。

俺の足元にボールを転がした。

目「え？なに、」

「ーーー、」

目「ちょ、！待って！」

「ふふっ、」

ラウ「わぁー！！」

ーーーパスッ、

「ふふっ、いっぽん、」

急に始められた1対1。

柔らかい笑顔とは真逆なほどの鋭いシュートはあっという間にゴールネットを揺らしていて。

振り返ってまた笑いかけられれば、
その可愛らしい笑顔に完全にノックアウトな俺。

まさか伊藤さんから仕掛けてくれるなんて。

そのうえ楽しそうに普段見せないニコニコした表情してるし。

ほんとにさ、急にこういうことされるとさ、、

あー、もう。可愛すぎてズルい。

ラウ「きゃは！！伊藤先輩すごい！」

「ちょっと今のはズルだったね、ごめんね？」

次から正々堂々お願いします。
とぺこっとお辞儀して、今度は自分がディフェンスに回っている。

いやズルいのはプレーじゃなくて伊藤さん自身というか、なんというか。

ラウなんて俺の顔見てニヤニヤしてるし。

ムカついたから、伊藤さんが見てない隙にケツキックをお見舞いしといた。

ラウ「、ちょ！！ひどくない！？」

目「うるさい。」

よし、

目「伊藤さん、よろしくお願いします」

「お願いします」

お互いお辞儀をし合って、時間が許す限り何度も何度も2人でゴールに向かい続けた。