夢番地 *black* (ページ4)

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目黒side

高校2年になった時、隣の席に転校生がやってきた。

この学校は中学の頃からほとんどメンバーが変わらないし繰り返しただ過ぎていく毎日に飽きてきた頃で、そんな些細なことですら俺は嬉しく感じてた。

ーー伊藤Aさん

自己紹介をした彼女はすごく緊張していて、それでいてどこか淋しそうな瞳をしていて。

化粧っ気のない素顔に色素が薄いのか地毛なのに茶色っぽい綺麗な髪の毛。

そんな彼女がなんでか分からないけど気になった。
仲良くなって彼女のことを知りたいと、そう思った。

でも、恥ずかしがり屋なのか声を掛けても目を合わせてくれることはほとんどないし、クラスの女子とも積極的に関わろうとしない。
一線を置いているかのようなその姿勢に、普段はグイグイいく俺でも少し距離を置いていて。
いつか話せるきっかけが来るはずだとタイミングを待っていた。

俺の唯一の学校の楽しみといえば「サッカー」で。
小さな頃から本気で向き合ってきたソレだけは誇れるもので今までレギュラーを外れたことは一度もない。

ーーまぁ、楽しいことだけでもなかったんだけど

高2になれば夏の大会だって俺らの学年が要になってくるし、先輩たちの引退もかかってる。
より一層普段の練習に力が入る時期になった時だった。

ガッーー！！！！

『あっ！！悪りぃ！！』

1人の先輩が蹴り上げたロングボールが抜けてしまい大きくフィールドから外れてしまった。

いつもならそこに人が通ることなんてないのに、こんな時に限ってボールの飛ぶ方向に1人の女子生徒が歩いていた。

『あぶないっ！！』

咄嗟に誰かが声をかけたけど、意外にも速度があるボールの方が速いのは当然のことで。

ふとこっちに向いた時、

その子が伊藤さんであることに気づいた。

ーーやばい、守んないと

でもどう考えたって走ったところで追いつける訳でもなく、、

目「避けてっ！！！」

そう声をかけるのが精一杯だった。

ダメだ、当たってしまう。
せめて顔だけには当たらないで、、

と、思っていたときだった。

伊藤さんは、当然のことかのように

胸でトラップしたと思えば
そのまま流れるようにボールの息を沈め
あっという間に手に抱えていた。

ーーーえっ、なにが起きた……？？