夢番地 *black* (ページ30)

今日:9 hit、昨日:49 hit、合計:123,343 hit

- 30 - ページ30

.

目黒side

個人で練習していいってなったから、また伊藤さんと1対1をやりたくて探していたらランドリーに行ったって聞いて。

そこへ向かえば、何やら話し声が聞こえて、その先には俯いている伊藤さんの姿があった。

話していたのはどうやら前の学校の人達だったみたい。

けど明らかに懐かし話に花を咲かせている空気感じゃなくて。
辛そうな表情をしている伊藤さんを見たら、ついカッとなって余計なセリフを吐いて連れ出してしまった。

やっちまったーと思う反面、勢いで手なんか掴んじゃってるし。

抵抗することもなく素直についてきてくれてることが嬉しかった。

いつまでも掴んでるわけにもいかないから干し場の庭についたら名残惜しかったけどその華奢な手を離す。

伊藤さんのことだから、さっきのことを気にしてお礼を言おうをしてくれてるんだろう。

いつもの可愛いお辞儀も見れるかなって思ったけど、冗談半分本気半分で身勝手な行動をとったことを謝った。

そのあとも、

思いつめているような、
辛くて苦しそうな表情が抜けない伊藤さんが心配で。

きっと、何かを話してくれようとしている。

それは、きっと、俺が聞きたい＂彼女のコト＂

でも、それを聞くのは今ここでじゃない、って
また俺の勘がそういった。

それに、彼女の話を聞くのであれば、

＂俺の話＂もちゃんとしたいなって思って。

合宿の最終日は夜のミーティングが終わると毎年恒例のようにキャンプファイヤーをやることになってる。

そのときに少し2人で抜け出せたらいいなって思って、思い切って誘ってみるとOKをもらえて。

その時に、お互い向き合えたらいいな。

さっきよりは少し和らいだ彼女の表情に安堵した。