夢番地 *black* (ページ29)

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「あのね、目黒くん、」

目「ん？」

サッカーをやっている人であれば
私のコトなんて＂いつかバレる＂とわかってる。

別に今だって隠してるわけではないけど、でも、気づかれたくないって思ってる時点でネガティブなことなのは事実なんだから。

気づかれたら、

話してしまったら、

いくら優しい目黒くんでさえも私への見方が変わるかもしれない。

ーーー＂アンナコト＂があったんだもの

しょうがないことだ。

そうやって前の学校では割り切ったし、転校先では極力目立たないようにしておけば残りの学校生活隠し通せるって思ってたけど。

でもな、なんでだろう。

目黒くんだけは、
割り切るのに時間かかるだろうな。

あんなところまで見られてしまったんだ。

もう、言ってしまった方がいい。そうに決まってる。

「ぁの、ね」

目「伊藤さん。

合宿最終日の夜さ、
毎年恒例のキャンプファイヤーがあるんだけど
その時ちょっと2人で抜け出さない？」

「、、え？」

目「俺ね、星空見るの好きでさ。

その、伊藤さんがよければなんだけど
一緒に見たいなーって思って。」

私が考え事をしている間にすでにビブスは干し終わっていて。
空になったカゴを抱えながら小さな子供のように私の顔を覗き込んで返事を待っている。

「...うん、」

目「マジ！？よっしゃ！」

ラウにバレないようにすんのがだるいなぁ、
なんて言いながら宿に戻っていく目黒くん。

...結局、言えなかった。

でもホッとしている自分もいて。

目「伊藤さん、行くよー」

「あ、うん」

扉を開けて待っててくれてる目黒くんのもとに急いだ。