夢番地 *black* (ページ28)

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目「行こう、伊藤さん」

『えぇー。なんかウチらが悪モノ扱いになってるの嫌なんだけど』

目黒くんは洗濯カゴにビブスを詰めて片手でそれを持てば、空いている手で私の手を掴んでこの場から連れ出そうとしてくれる。

さっきまで微塵も動かなかった足なのに、目黒くんとなら嘘のように軽く動き出した。

目「気づいてないのかわざとなのか知らないけど、こんな辛そうな顔してんのに平然と喋り続けてるアンタら見たら悪モノに思って当然でしょ。」

『『ーーっ！？』』

目「関わらないでもらえます？迷惑なんで。」

「っ、め、ぐろくん」

目「だいじょうぶ。行こ」

そして手を引かれたまま、宿の庭先までやってくる。

外に出れば、さっきまでの息苦しさが嘘のように肺に新鮮な空気が入ってくる。

目「干すのここでいいんだよね？」

「ぁの、わたしやるから、、」

目「うん。じゃあ一緒にやろ。」

ね？と優しい笑顔で私をみて、ポンっと頭に手を乗せてくれる。

さっきの、どこから見てたんだろう。

それよりもお礼言わなきゃ。

「ぁ、の」

目「ん？」

「さっき、」

目「ごめんっ！」

お礼を言おうと思ったその時、私よりも先に言葉を発したのは目黒くんで。

目「関わんないで、とか。
部外者のくせに出しゃばったこと勝手に言っちゃったなって思って。
ほんとごめん。友達だったんだよね？」

やらかしたわー、、と肩をすぼめてる目黒くん。

この人はなんでこんなにもまっすぐで優しくて温かいんだろう。絶対あの人たちと私の関係が良いはずがないってわかってるだろうに。

こうやって＂自分が悪い＂って考え方をしてくれるんだから。

「...友達、だった、と思う。
でも、もう、いまは違う。」

目「じゃあ俺ファインプレーだった？」

「ぅん、とっても」

目「あはっ！よかった」