夢番地 *black* (ページ27)

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早速練習が始まった。

今日は到着日ということで、軽くチーム練習をやったあとはお風呂の時間まで個人練習でいいということになった。

練習後、香山先輩はキャプテン達と明日の練習メニューについてミーティングをするみたいで、私は使ったビブスを洗濯しようと宿の地下にあるランドリーへと一人向かう。

洗濯機を時短モードにセットして終わるのを待っていると、数人の男女が入ってきた。

部員の人なら声をかけないとと思ったけど、どうやら同じ学校の人ではないみたい。

そういえば宿に着いたとき、私たち以外にも別の団体が合宿でここを使ってるって言ってたっけ。

『あれ？伊藤、だよね？』

「ーー、？」

『ほんとだー。なんで？なんでいるの！？』

突然声をかけられたと思ったら、

数ヶ月前まで私が通っていた、静岡の同級生たちだった。

ーーーどうしてこうなるんだろう、

『さっき先生が東京の高校のサッカー部もいるって言ってたじゃん！』

『えっ？ってことは伊藤サッカー部なの？』

『マジ！？
...お前、よくできんな、』

「......っ、」

ーーーあいたくなかったな

喉の奥がヒュッと音が鳴る。

ここから逃げ出したい、と思っても血の気の引いて冷え切った足は根が生えてしまったように動いてくれない。

『じゃあそっちの部員は受け入れてんだ。伊藤のコト』

ーーーお願い、やめて

目「伊藤さん？」

俯きながら唇を噛み締めて、とにかくこの時間が終わるようにただひたすら願っていたときだった。

少し低くて、それでいて温かい声で私の名前が呼ばれる。

目「ここいたんだ。
....えっと、、知り合い？」

「ーーっ、」

だめだ、どうしよう、声が出ない

目「......、」

『あー、うちら学校一緒だったんですよ』

『そうそう、久しぶりって話してただけだよな』

目「...そうっすか。
伊藤さん、使ってたのこれだよね？」

気づかない間に終わっていた洗濯機のフタを開けて中身を取り出してくれてる目黒くん。

私の仕事なのに。

身体がうまく動かない。

『なるほどねー。この感じじゃアンタ知らないんだ。』

蓮「...は？」

『まぁ、こんだけ無口ならまだわかんなくて当然か。』

『ちょっと、そのくらいにしときなよー。笑』

『別になんもしてなくね？「知らないんだ」って言っただけじゃん。』