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「こないだの練習みてたときに、出すボールによって足元の収まり方とかが違うなって思って、、」
そんなこと、ただのマネージャーじゃ絶対に分かるわけない。
明らかにプレーヤー目線の意見で。
「極端に劣化してるボールとか、空気圧が違うのあるなって。」
目「それを練習前に1人で仕分けしようとしてくれたんだ？」
「...でも、目黒くんの邪魔になっちゃった、」
ごめんなさい、といつものように頭を下げた彼女。
その健気な姿に俺はどうしようもなく「好き」の気持ちが湧き上がってくる。
目「伊藤さん」
俺が出せるであろう一番優しい声で名前を呼ぶ。
目「ありがとう」
「っ、」
目「いつも俺らのこと考えてくれて」
「ぃえ、そんな、」
目「伊藤さんが来てくれてから今まで以上にめちゃくちゃ練習しやすいの。香山先輩も褒めてたよ。」
「私にできることはこれくらいだから、」
目「ふふっ。それがめっちゃ助かるの」
伊藤さんが持っていたボールを取る。
「あ、それはまだ、」
目「俺にもやらせて。」
「でも、」
目「自主練しに来たけどさ、
それ以前にこーゆーことはプレーヤーも気づかなきゃダメでしょ。」
「そんなっ、
私が勝手にやったことで、、」
目「それにせっかく伊藤さんと2人なんだもん。
もう少し話したいし。だめかな？」
俺ってあざといなーと心の中で思う。
誰かの頼みを断ったことのない伊藤さんには意地悪なやり方ってわかってるけど、それでもシュート練習なんかよりこの時間を大事にしたかった。
目「一緒にやろ。
その方が早く終わるし。終わってまだ時間あったらシュート練付き合って？」
早起きしてよかったと心から思った。
こんなイイ事あったんだから、これからの地獄のような夏練も乗り切れそう。
ほんとに単純だな、俺。
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作者名：＊yuki＊
| 作成日時：2024年1月9日 21時
