夢番地 *black* (ページ14)

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そのまま興奮気味に話す内容は、今までマネージャーで入ってくる子はたくさんいたけどみんな男の子目当てでとても困ったとか。

ルールは覚えないし、夏は暑い・冬は寒いとか何かと理由こじつけて全く動いてくれず、プレーにも見向きもせずに隅っこで集まってはキャーキャー恋愛話で盛り上がっているだけだったそう。

香山「去年、強化コーチがマネージャーを一掃したのよ。
サッカーに興味ないやつはやめろ！って。
恋バナとか全然いいと思ってるんだよ？
だけどまず仕事しよーよって。」

「、そうですね」

香山「って突然の愚痴ごめんね？
結局私だけになっちゃったから...。
とにかく伊藤ちゃんが入ってくれて本当に嬉しいのよ！」

なんだかんだ私もそろそろ引退だからね。
と呟いた先輩は少し寂しそうで。

そこまでの想いを
この部活にかけれるって凄いことだなと思った。

『周りしっかり見ながら上がれ！』

『そこスペースあいてるぞ！』

『シュート！！』

あ、そこで待っちゃうとボール抜けちゃう。
逆サイドの人空いてるのに。

ピピーーーッ！！！

「あぁ、惜しい」

ーーーほら、A！ドリブルやってみろ！
ーーーそんなんじゃ相手抜けないぞ
ーーー前向け！足元ばっか見んな！

「......。」

なぜだろう、
もう思い出したくもなかったはずなのに。

必死になってボールを追いかけて、
仲間のために声を掛け合う姿を目の前にすると
＂アノ人＂の声が頭の中に鳴り響く。

アノ人ならきっとこう動いただろうな。

なんて、すぐに頭にイメージが浮かぶんだから本当にどうしようもない。

どの口が「きらいじゃない」なんて言ったんだろう。

自然に上がっていた口角に気づいて、ふと我に返える。

それを隠すように自分の口元に袖をあてた。