かわらないもの *blue* (ページ7)

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トイレに駆け込んで冷たい水で何度も顔を洗った。
鏡に映った目を赤くした自分は、たしかに女の子らしさなんて微塵もない。

まず普通はメイクしてるからこんな風に顔洗うなんて
＂あるわけない＂んだよ。

初めてスッピンでいることが恥ずかしくなった。

その後の部活ではこの気持ちをかき消すように、明日の試合に向けた練習試合でめちゃくちゃに動きまくってゴールを量産してた。

『A先輩やばくないっ！？かっこよすぎるんだけど！』
『あんなところからシュート入るの凄い！』
『マジでイケメン、！！』

そーだよ、私はイケメン枠なんだよ。

...いや、何だよ、イケメン枠って。

わたしだって、女の子なのに、、

コーチ「おい相澤！本番は明日なんだからな。そんな身体酷使すんな。」

うるさい、もうほっといてよ。

こうでもしないとさっきの翔太の声が、言葉が、ずっと頭から離れないんだよ、、

気がついたら練習は終わってて、いつものように自主練をする時間。

みんなが帰るなか、いつものようにボールを持ちながらこっちに向かってくる姿があった。

やだ、来てほしくない。

翔「エグかったな！さっきのゲーム。もう今日は練習することないんじゃね？」

「....、」

翔「ーーA？」

「....、、」

翔「あー、もしかして意外と緊張してる？」

...そうだ、ほんとは相談したかったんだっけ。
同じ立場の翔太から、安心する言葉が欲しかったんだった。

「、べつに」

うそ、ほんとはプレッシャーで押しつぶされそうなの。
でももう遅いんだよ。

翔「さすが＂イケメンキャプテン＂は違うな」

ーーーズキン、

やめて、翔太にだけは言われたくない

「...帰る」

翔「おう、今日は帰ってゆっくり休め」

一度も翔太の顔を見れなかった。
これ以上、女の子として見られてない視線が向くのが怖かった。

翔「ちょっと待って」

すでに背を向けた私の手を掴んで何かを握らせた。

翔「...コレ、使って。俺の念が入ってっから」

それは翔太がいつもつけている青いリストバンドで。

翔「明日の試合楽しみにしてるから。
優勝祝い考えとけよ。」

嬉しかった。
やっぱり＂特別＂なことをしてくれることに。

と同時に、凄く心が痛かったんだ。