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翔「Aも座って。そろそろ入場するよ。」
こうして、突然はじまった試合観戦。
ファン同士で観るほど楽しいことはなくて。
お酒も進みながら、プレーの内容をあーだこーだ言うのが凄く楽しい。
翔「うわ！今のステップ、Aめちゃめちゃ練習してたよな」
「してたー。カッコよくない？
ちょっと無駄な動きだけど。」
翔「わかる。やりたくなる。
てか、シュートフォームもまんまやん。」
「あははっ、なんでも真似してたからね」
TVの画面で活躍する彼は、今日も安定に人々を魅了するプレーをしていて。
引退表明の会見では「年齢には勝てない。」と言っていたけど、その後に続けた「かっこよくプレーできる時に終わりたい」という言葉を体現している。
あっという間に終わったゲーム結果は無事に彼のチームが勝利を納め、華やかな引退試合となった。
「あーあ、、終わっちゃった」
なんだろう、お酒が入っているからだろうか。
それとも翔太がいるからだろうか。
彼が引退をしたことで、
私の中の��バスケットボール��も終わってしまった気がして。
っていうか、
「引退」ってワードと「翔太」の組み合わせは良くない。
面倒くさい私の思考回路はどうしたってあの日のことに結びつけてしまうのだから。
涙が込みあげてくる。
部屋の片隅に作った推しコーナー。
そこに飾っている全盛期の彼と
TVに映る年を重ねた彼を見て
なんだか儚くて、寂しくて。
我慢できない涙がとうとう溢れ出した。
翔「なに泣いてんだよ」
「酔っ払った、だけ」
翔「うん」
「終わっちゃった」
翔「...ん」
「もう、ぜんぶ、終わり。
これも片付けよっかな。」
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作者名：＊yuki＊
| 作成日時：2024年1月1日 2時
